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料理島・中編 幻影の峡谷

 フェルカド島ではやはり祭りが行われていた。屋台が立ち並び、半額のマークが貼られた商品が置かれている。広場ではアコーディオンや笛やドラムを持った者たちが賑やかに演奏をする。民衆の中で揉みくちゃにされながらも俺はクルハに聞いた。

「えーっと…欠片は…どこに…ある?」

「分から…ないです!…近くの…人に…聞いて…探して…みま…しょう!」

 ひとまず民衆の海から脱出した。そして近くにいたおじさんに聞いてみた。

「ディランの欠片というものを探しているんですけど…。」

「ディランの欠片?知らないなぁ。けどこの街の近くに古代遺跡みたいなもんがあるぞ。専門家がアルカ…なんだっけ?と関係があるって…。」

 アルカディア文明と関係があるなら欠片がある可能性も出てくる。

「その遺跡はどこにあるんですか?」

「確か…そっちの方にある谷の底にあったぞ。」

 その人が指差した谷は濃い霧がかかっていた。そして不気味な空気を纏っていた。俺はクルハたちを呼んだ。

「この下に本当にあるの?証拠とかは?」

 最初に口を開いたのはミアだった。少し苛立った様子を見せている。にもかかわらずクルハは躊躇なく降りていった。

「早く行きましょうよ!」

 正直俺も勇気が出なかったのにクルハは好奇心の方が勝っているようだった。俺たちはその怪しげな谷に降りていった。

 谷の下の方はさらに濃い霧で包まれており、葉のついていない枯れ木が鬱蒼と茂っている。そして地面には折れた木の棒や動物の骨などが落ちていた。時々コウモリがバサバサっと飛んでいく音が聞こえる。一番怖がっていたのはルミーだった。

「ねえ…ここって本当に淡海?淡海ってもっと楽園みたいなところじゃなかった?なんでこんな霧濃いの?お化けとか…吸血鬼とか出てきたらどうするの?」

「お前が吸血鬼だろ。」

 しばらく進んでいるとどこかで見たような看板があった。

「フェルカド峡谷」

 ミアが呟く。

「これ最初来た時にも見たよね。」

 どうやら同じところをぐるぐる回っているようだ。今度は石ころを置いて方向をちゃんと確かめながら進んだ。またしばらく歩いているとついに遺跡を見つけた。色褪せた石でできた遺跡にはヒビが入り、苔や蔦が張り付いていた。外壁には解読不能の古代文字が書かれている。おそらくミラム王国の文字、または混沌時代の文字だろう。俺たちは恐る恐る入っていった。流石のクルハも少し怯えた様子を見せながら進んでいった。

 突然目の前に死の幻影『デットファントム』が現れた。俺は何度も目にしたことがあるが、ルミーはそのまま気絶した。

「シャアアアア!」

 と乾いた声でデットファントムは叫んだ。そして死神の鎌をブンブン振り回した。クルハはルミーを連れて少し遠くに避難した。俺が技を繰り出そうとした瞬間にミアが死の幻影を死に至らしめてしまった。

「成仏しな!」

「おい!俺がカッコよく決めるシーンだろ今の!」「修行が足りないから技を出すのが遅くなったんじゃないの〜?」

 ここで仲間割れするのもよくないので一旦引き下がった。探索をしているが、欠片はなかなか見つからず、そのまま最下層まで到着してしまった。ボスモンスターの『ダークナイツファントム』が現れた。

 ルミーはデットファントムには耐性がついたようだが、それより禍々しい闇夜の幻影には耐性がなかったようだ。一瞬で逃げた。

 クルハとルミーは端っこで援護(ルミーが攻撃力上昇のバフをつけるなど)、俺とミアはどんどん敵のHPを削っていく。あっという間にボスを倒すことに成功した。煙となって消えたダークナイツファントムの中から光る何かが落下した。

「ディランの欠片です!」

 クルハは叫んだ。輪っかを三等分したような形の青い物体だった。真ん中のクリスタルのようなものはぼんやりと光っている。ルミーは先ほどとは打って変わって目をキラキラさせた。

「これをあと二個集めれば…お宝が!」

 クルハはカバンに欠片を慎重にしまうと、今度は地図を取り出した。

「いま私たちがいるのがこの右上のフェルカド島です。他の二つの欠片どこにあるでしょうか。」

「難しいことはまた明日考えようよ〜。」

 ルミーがフニャフニャになって言った。精神的にも肉体的にも疲れていたのだろう。俺たちはひとまず街まで戻った。もう夜だったが、祭りは賑やかさが増していた。クルハが最初に言った。

「せっかくですし今日はこのお祭りを楽しみましょうよ!」

 ディランの欠片一つ目が見つかった祝いも兼ね、俺たちは祭りを楽しむことにした。

小説って書いてると楽しいですよね!この作品で好きなキャラとかいたら教えてほしいです!(作者が喜びます)

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