序章 薫風の冒険
8月のとある日の早朝。
「え⁉︎師匠⁉︎また出張ですか⁉︎」
俺が叫んだ。師匠はそれに対して返事をする。
「ああ。夏休みなのに出張だ。…嬉しそうだな。」
「そんな訳無いじゃないですか!うわ〜師匠と稽古できなくて寂しい〜!」
俺は喜びを抑えながら言った。師匠は呆れた顔をした。
「おい。私が言っている間も稽古の手を休めるなよ。帰ってきたらテストするからな。」
「ゑェ⁉︎」
そんなの鬼畜だよ。
「あれだったら…ミアに頼んで稽古をつけてもらったら?ミアの技術自体はお前より優れてるからな。」
俺の「兄弟子のプライド」はへし折られた。そして渋々部屋に戻っていった。
そして師匠が出発すると俺はカバンを持って道場を飛び出した。
「やっぱり夏休みなら思いっきり遊ばなきゃねー!あはははははははははははは…」
後ろからミアが俺の肩を掴んだ。
「あれれ?師匠の言い付けも守れない男なの〜?マジありえないんですけど〜?」
「…。兄弟子にそんな口聞くとかいつの間にか偉くなったもんだな?」
「じゃあ一回私と殺ってみる?多分竜がなす術なく●ぬけど。」
「はいはいまた今度な。」
そう二人が話しているとルミーが目を擦りながら道場から出てきた。
「おはよう…どうしたの…?師匠が出張?」
俺はすかさず言った。
「ああ!だから夏休みを思いっきり楽しめるぞ!場合によってはお宝が手に入るかもしれないしね!」
ルミーはお宝という言葉に反応し目が覚めたようだった。
「お宝!…で、どこに行くの?」
「…。うーむ…。」
俺は行くところを決めていなかった。
(夏休みなら海に行きたいな…。けどバカンス島にお宝なんて無いし…。)
ミアが口を開いた。
「まて。まずなんで遊びに行く事になってるんだ。さ、修行の時間だ。」
ミアの真面目な一言に対して俺の煽りの一言。
「おや?もしや自分だけ仲間はずれだから嫉妬してるの?ああ〜。ごめんね〜。」
「よし。師匠に一応メール送っとくか。今読んでくれなくても後で読んでくれるし。」
しばらく言い争っていたが、ルミーが途中で口を開いたため、その言い争いは止まった。
「私の出身地の淡海に行く?」
俺は疑問に思った。
「淡海?あの珊瑚礁…お宝とかあったっけ?」
「淡海の真ん中には古代文明が沈んでいるっていう噂があってね。そこだったら古代人の遺したお宝があるかもしれないよ!」
ミアは古代文明に惹かれたようだった。
「…。まあ、行ってもいいけど。でも、旅の途中でも稽古はしてよ。しなかったら無理矢理連れて帰るから。」
そういう事で俺、ミア、ルミーの三人で淡海の古代文明に行く事になった。