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おねえちゃんになるの!


 わたしはゆき。6さいになったよ!


 はじめて、おかあさんとおとうさんとゆきの3人でおたんじょう会ができたの。

 おとうさんが、

 

「ゆきが大きくなるのを見たかった。」


 っていうから、ゆきは、


「これから、もっと大きくなるよ!」


 っていったの。


 そうしたら、小さくてかわいい耳とピクピク、ながくて くろいもようのある りっぱなシッポを、ユラユラうれしそうにゆらして、うなずいてくれたよ。


 そんなおとうさんを、おかあさんはニコニコわらって、たのしそうにみていたの。

 

 3人でおでかけするときは、ゆきがまんなかで、おとうさんとおかあさんと手をつなぐんだよ。


 おとうさんは、まちをまもる おしごとをしているの。

 すごくつよいんだって、お肉やさんのおじさんがいってた!

 ゆき、おとうさんをほめられてうれしかったよ!


 ある日、ゆきがお家ににかえると、おとうさんとおかあさんが、ニコニコしながらまっていた。


 ちゃんとうがいと、手あらいをしてから、2人が待っているお部屋にはいってイスにすわったの。


「ゆきに、たいせつな おはなしがあるの。」

 

 おかあさんが、うれしそうにいった。

 

「なあに?」


「おめでとう、ゆき。おねえちゃんになるよ。」

 

おとうさんが、ゆきのあたまを やさしくなでてくれた。 


「ゆき、おねえちゃんになるの?

 やったぁ!おとうとかな?いもうとかな?」


 ゆきはうれしくてお耳をピン!となったの。

 ピョンピョンはねてよろこんでたら、

 

「うまれてからのおたのしみだね。」


 と、おとうさんもニコニコして、しっぽをユラユラさせていた。

 

つぎの日に、おとなりのおねえさんに、ゆきおねえちゃんになるよ!っておしえたら、

 

「わたしも、いもうとがうまれたとき、うれしかったなあ。」


 っていったの。

 ゆき、おねえさんにきいたんだ。


「おねえさんは、じぶんのことを、わたしっていうね。

 おかあさんもじぶんのことを、わたしっていうよ。

 ゆき、おねえちゃんになるから、かえたほうがいい?」


「ゆきちゃんが、そうしたいなら、かえたらいいよ。」 


「うん!ゆき、おねえちゃんになるから、じぶんのことを、わたしっていうことにする!」


 おとうさんが、おしごとからかえってきて、おかあさんと3人になったときに、ゆきは いったよ!

 ゆきは おねえちゃんになるから、じぶんのよびかたを「わたし」にするって。

 おとなりのおねえさんが、じぶんのことを「わたし」って、いっていて、ゆきもそうしようとおもったの。


「そうか。ゆきはおねえちゃんになるから、わたしっていうことにしたんだね。」


 おとうさんがうなずいてくれた。

 

「うん、ゆき……じゃなくて、わたしはおねえちゃんだから。」

 

「きょうだいが うまれるまで、まだ じかんはあるから、ゆっくりなれていこうね。」


 おかあさんがえがおでいってくれた。


「うん!わたしって いうの れんしゅうする!」

 


 あきになって、はっぱがきれいに色をかえたよ。

 おててみたいな赤いはっぱは、「かえで」っていうんだって、おとなりのおねえさんに、おしえてもらったの。

 きれいな かえでを1まいひろって、おとうさんとおかあさんに見せるんだ。


「ただいまー!みてみて!

 わたし、おかあさんの目の色みたいな赤いかえでをひろったよ!」


「ゆき!たいへんだ!もうすぐ、あかちゃんが うまれるよ!」

 

 おひるなのに、おとうさんがいて ビックリした。


「えっ!きょうだいが うまれるの?」


 よくみたら、おかあさんのおなかをみてくれる、おばあちゃんせんせいと、きんじょのおばさんがいたよ。


「すぐには うまれないよ。おとうさんは、あわてんぼうだね。ゆきちゃんのうまれるときも、てつだったから、あんしんしてね。」


 おばさんがわらった。


「うん。わたし、まってる!」


 チクタク チクタク

 

 おそとは もうよる。

 ごはんは、おばさんが持ってきてくれたの。

 おとうさんは、すわっても すぐに たちあがって、ウロウロ、しっぽもユラユラ。

 わたしは、赤いかえでをジッとみていたよ。


 そしたら、

 

「ふにゃーあ!」


 おおきなこえがきこえたよ!


「うまれた!」


 おとうさんのしっぽも、わたしの耳もピン!ってなったの!


おばあちゃんせんせいが、おへやからでてきて、


「おめでとう。げんきなおとこのこだよ。

 もう なかに はいって だいじょうぶ。

 かおを みてあげなさいな。」


「ありがとうございました。ゆき、いこうか。」

「うん。」


 そっとおへやにはいると、おかあさんが、えがおでこっちをみた。


「このこが、あたらしいかぞくよ。」


 おかあさんのとなりに、ちいさなあかちゃん。

 わたしのおとうと。

 おとうさんと2人で、こっそり ちかづくとちいさい耳がみえたよ。


「おとうさんとおなじ耳だね。」


 おとうとに ないしょばなしをする。


「わたしはゆき。おねえちゃんだよ。よろしくね。」


 すると、おとうとが目をあけたよ!


「あ!おかあさんとおなじ色だ。」


「ああ、ほんとうだ。マリア、うんでくれて ありがとう。」

「うふふ、ヒョウガ。抱っこしてあげて。」


 おとうさんとおかあさん、うれしなみだがでてる。


 おばあちゃんせんせいに おしえてもらって、おとうさんがおとうとをだっこした。


「なまえはなんにしようか?」


 おとうさんがいった。

 わたしはポケットから、かえでをだしていったの。


「かえでは?

 きょうね、おかあさんの目の色みたいな かえでをひろったの。

 おとうさんとおかあさんに見せようとおもってたけど、あかちゃんの目の色もおなじ色なの。」


「まあ、すてき!どうかしら、おとうさん。おかあさんもいいとおもうわ。」


「ほんとうだ、おなじ色だね。かえで。

 うん、いいなまえだ。そうしよう!」


「ふにゃあ。」


 みんなの おはなしに、おへんじしたみたいに、かえでが こえをだしたよ!


「うふふ。かえでも うれしいのね。」


「よかったな、かえで。おねえちゃんがなまえをつけてくれたぞ。」 


おとうさんも おかあさんも わたしも うれしくてニコニコだよ!

 

 わたしは、ゆき!

 きょう、かえでの おねえちゃんになったよ!

 

 


 


 

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