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初めてのドライブ

ニヤニヤしながら取り立ての運転免許証を会長に見せた。

「これは偽造か?」

あなた方の世界では珍しいことではないかもしれませんが…。

「というわけで、約束通り、車を貸してください。みんなでドライブ行きましょ!」


部屋にいた会長も山岸さんも柴野さんさえも無反応だった。

ウッ。やはり日中のドライブなんかにやくざは食いついてこないのか。諦めかけたとき、

「約束はしてないが、付き合ってやる。俺は後部座席だ」

会長が口を開いた。

山岸さんは笑いながら

「そしたら念のため、紗耶さんの運転する車を前後で囲んで守りますか。組員に声掛けますよ」

「そんなことしなくても私は安全運転です。でもたくさんの人数でドライブなんて遠足みたいで楽しいですね。私、大量のお弁当も作ります!!」

「俺等はお前の運転か弁当で殺されるんだな」

そう呟いた会長は無視して、私のテンションはマックス。早く行きたくてたまらなかった。


当日、たくさんの組員がスーツ姿で待っていた。

「あの、ドライブで海に向かうのに皆さんスーツなんですか?」

山岸さんはいつもの笑顔で

「とりあえず車3台で行きます。真ん中が紗耶さん。前方の車についていって下さい」

私はなんか違うと思って

「私は1番前がいいです。それだと練習にもならない」

組員全員の顔が引きつった。

「紗耶のやりたいようにしてやれ」

会長の鶴の一声。


私は運転席に乗り込んだ。だが、私の車に誰も乗り込まない。

「ひ、ひどい…」と言うと隣の助手席に会長が乗り込んできた。そして、後部座席には山岸さんと柴野さん。

会長は「今日でこの組も最後かぁ」

「失礼な!」

とりあえず出発したが、慣れない車と慣れない町の道。びっくりするほど、ノロノロ運転だった。もちろん後方に続く2台も私の運転する車に続き、ノロノロ運転。私は真剣だったが、車内は大爆笑だった。

「少し黙っててください」

私はホントに真剣だった。


そのうち、後ろからクラクションを鳴らして追い越そうとする車が近づいてきた。横を追い越すタイミングで窓ガラスを開け、わざわざ野次を飛ばしてきたのだ。ガラの悪いチンピラのようだった。

すると、後部座席に座っていた山岸さんが窓ガラスを開け睨みを利かし、後方を走っていた2台がその車めがけて煽り始め、1台は窓ガラスを全開にして

「紗耶さんが一生懸命運転してんだ。邪魔すると殺すぞ、ボケがぁ!」


私は違う意味で緊張が走った。その様子を見て会長がひたすら笑いをコラえていた。

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