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世界の交わるその時に  作者: まくらのおとも
9/18

9話



 レオン達と分かれたダルトンは1人馬車を動かしクレインワース領の領主邸へと引き返していた。すると音もなく黒い服に身を包んだ4人の人物が馬車の上へと現れ、その中の1人がダルトンへと話しかけた。


「隊長、全員バレてましたね。」


「ほっほっ。私はただの御者でございますよ。ほっほっ。」


「いつまでそのキャラ付けやってるんですか…。とゆうか、泣いてます?」


「うるさいぞ、レオン様に俺はただの御者だって認めてもらったんだ。だから俺はただの御者だ。後、泣いてなんかない。これは汗だ。」


「いや、なんて分かりやすい言い訳してるんですか。俺たちは影なんだから感情ぐらいちゃんと制御しないと。まぁ確かに最後のレオン様の言葉にはグッと来るものが有りましたけどね。俺もちょっと泣きそうでしたよ。」


「戻ったら旦那様に影の存在がレオン様に気づかれていた事もご報告せねば。影は全員鍛錬のやり直しだ。」


「…。」


 そんな会話をしながらダルトン達は馬車を進めるのだった。





 商業ギルドの中は人もあまりおらず、意外と静かだった。目的の書かれた看板を掲げたカウンターが並んでおり、受付係が座って待機している状況だった。数人がカウンターで受付係と話しているのを横目に見ながら、レオンはローゼに案内され、「物件」と書かれた看板のあるカウンターへとまっすぐに向かった。そこには眼鏡をかけた真面目そうな女性が座っていた。


「すまない。冒険者用の物件を探しているんだが。」


「いらっしゃいませ。物件のご案内をさせていただきますダニエラと申します。ご予算と要望などがありましたらお聞かせ願えますか?」


「俺はレオン。そして、後ろのメイドはローゼリアだ。よろしく頼む。今日この街に着いたばかりだし、物件を買うのは初めてで相場が分からないんだがどれぐらい必要なんだ?」


「レオン様とローゼリア様ですね。よろしくお願いいたします。それでは、ご要望に沿う物件をいくつかご用意致しますのでその中からご予算に合ったものを選ぶというのはいかがでしょうか?」


「そうだな、そうしよう。要望かぁ…、そうだなぁ、鍛錬できる広い庭のような場所がある所が良いな。他の冒険者達はどんな要望を出すんだ?」


「冒険者様の中には専属の鍛治師を雇っている方もいらっしゃらいますのでそう言った方は工房を作れる土地があるところを、また従魔を持っている方は専用の厩舎があるところをお探しになられます。また、パーティーやクランで一緒に住われる方が多く、部屋数の多い家などを探されることが多いですね。」


「なるほどなぁ…。今のところ鍛治場はいらないし、従魔もいないから厩舎も必要ない。それに、パーティーも増える予定もないしなぁ。ローゼは何かあるか?」


「レオン様、実力的には問題ないかと思われますが、冒険者としてやっていくのにパーティーを増やすか従魔を持つことは考えておくべきかと。」


「そうか?俺はローゼと2人でいいと思ってるんだが…。」


「ここデライザ近くにある死の森や迷宮はレオン様が今まで行っていた狩場とは魔物のレベルも数も数段違います。数の暴力で来られた場合、少しでも人数は増やしている方が安心で御座います。」


「そう、か。なら少し部屋数も多めで、鍛錬用の広い場所があり厩舎を建てられる場所もあった方がいいな。そんな物件を紹介してくれるか?」


「かしこまりました。いくつか纏めてお持ちいたしますのでお待ちください。」


 受付のダニエラはそう言ってお辞儀をすると、カウンターを離れ、奥の部屋へと入っていった。


「さすが商業ギルドだな。でかい組織なだけあって、受付の対応も丁寧だ。」


「商業ギルドは大商人や貴族を相手にする事も多いですから、そういった教育には力を入れていると聞きます。冒険者ギルドではこうもいきませんのでお気を付けて。」


「まぁあっちは商人や貴族を相手にすることなんて滅多にないからな。冒険者を相手にするには必要なスキルが違うんだろう。」


 ローゼとそんな会話をしていると、奥の部屋から数枚の紙を持ったダニエラがカウンターに戻ってきた。


「お待たせ致しました。ご希望に添えそうな物件はこちらの8軒になります。」


「結構あるもんなんだな。見せてもらって良いか?」


「はい、どうぞご覧になってください。」


 レオンはダニエラに許可を取ると、物件の概要が書かれた紙を順番に見ていった。そして一軒の物件に目が止まった。


「ダニエラさん、この物件結構な広さの割に他のものに比べて安いようなんだが、何かあるのか?」


「そちらの物件は冒険者ギルドから少し離れた場所にあるためお安くなっております。元々馬車や騎乗できる従魔を持つクランが住んでいたのですが、拠点を移した為現在空き物件となっております。」


「なるほどな。ギルドから多少離れている方が人も少ないし、鍛錬の時も周りを気にしなくて良いしな。ローゼはどう思う?」


「はい、そちらの物件でよろしいかと。」


「この物件は今から見にいくことは出来るか?」


「はい、可能です。すぐに馬車をご用意致しますのでギルドの前でお待ちください。」


 そう言ってダニエラはカウンターを離れ裏口の方へと馬車を手配しにいった。レオン達もギルドの外へと歩みを進めた。

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