4話
2ヶ月が過ぎ、家を出る日がやってきた。
「では父上、母上、行ってきます。」
「レオン、気をつけて行くんだよ?」
「はい、父上。今までお世話になりました。」
「いつでも帰ってきていいんだからね?それから、たまにはお手紙書いてちょうだいね?」
「はい、母上。落ち着いたら手紙を出すようにします。兄上たちにもよろしくお伝えください。」
レオンは魔物討伐で得たお金や干し肉などの食料を入れた鞄を背負い、腰には剣を下げて家の門を潜った。
「レオン様、お待ちしておりました。デライザまでの馬車は用意しておりますので、参りましょう。」
「ローゼ?見送りがないと思ったら何してるんだ?参りましょうってまさか…ついて来るのか?」
「私はレオン様の専属メイドですので。それにレオン様はお強いですが、生活能力は低いでしょう?まさか、置いていけると思ったのですか?」
いつもの表情の乏しい顔でそう返されたレオンは苦笑いを浮かべるしかなかった。
自分の生活能力の無さは身に染みて理解していたからだ。
「そうか、ありがとう。でも、クレインワース家での仕事はいいのか?」
「昨日をもって暇をいただきましたので心配はいりません。本日よりクレインワース家のメイドではなく、レオン様のメイドとなりますので。今後ともよろしくお願い致します。」
「よく父上が許可を出したな。まぁ今までも俺の専属だったんだし支障はない…のか?
何にしろローザがいてくれると助かる。俺の方こそこれからもよろしく頼む。」
そう言ってローゼの用意した馬車に2人で乗り込み、デライザに向かって走り始めた。
家を出発して2時間ほどが経過した。
馬車での旅は特に何も起こらず平和に過ぎていた。
「ところでローゼ、何でメイド服のままなんだ?」
「メイドですので。」
「いや…まぁそうなんだけど…これから冒険者としてやっていくんだから、メイド服だと動きづらくないか?」
「心配ございません。メイドですから。」
「そうか…ローゼがいいなら別に構わないんだが…。」
馬車はデライザへ向けて進んでいく。