2話
レオンの専属メイドのローゼはレオンの部屋を出た後、子爵家当主であり、レオンの父であるマルス=クレインワースに呼び出され執務室に来ていた。
そこには黒髪の綺麗な顔立ちをした男と銀髪の長い髪をして年齢からしたら幼い顔立ちをした女が待っていた。
「ローゼ、呼び出して悪いね。レオンのことなんだけど、森の中で何かあったのかい?」
「いえ、旦那様。レオン様曰く森に散策に出てそこで寝てしまっただけだそうです。ただ、私達の目を掻い潜って1人でお出かけになられたのはいささか疑問ですが。」
「そうだよね、うちの影の目を、何よりローゼの目を掻い潜るなんて10歳のレオンにできるとは思えないんだよね。多少魔法の腕が立つとはいえそれもあの年にしてはってだけで突出した怪物って訳でもない。それに、帰っきてからのレオンになんとなく違和感があったんだ。」
「そうですね、私も少し違和感を抱いておりますがレオン様である事に間違いはありません。また、周囲を影に探らせましたが他者がいた痕跡もありませんでした。なのでレオン様お1人で森に入った事には間違い無さそうです。」
「そうか、ローゼが言うならばそうなんだろうね。これから少し監査を強化しようか。また今回のように行方を眩ますことがないようにね。」
「でもあなた、今日もずっと影とローゼがレオンについてたんでしょ?どうやってレオンが森に行ったのか聞かなくていいのかしら?それがわからなければ監視を増やしてもまた同じことが起こるかもしれないわよ?」
「それはわかっているよマリア。ただ少し気になることがあるからね。少し様子を見る事にしようと思うんだ。それでいいかい?」
「あなたがそう言うなら構わないけれど、、、
レオンに危険はないのよね?」
「大丈夫だろう。少し変わったけどレオンはレオンだ。危険はないと思うよ。まあ僕の勘だけどね。」
「まあローゼもいるし任せましょうか。ローゼ、よろしくね?」
「はい、奥様。お任せください。それから、少しご報告が。」
「どうしたんだい?」
「レオン様が明日から独自に鍛錬を行うようです。なんでも魔法だけでなく近接戦闘の方も鍛錬を始めるようです。」
「そうか、魔法師団に近接戦闘能力はあまりいらないんだけどね。もしかしたら他にやりたい事でも見つかったのかな?その辺りも様子を見る事にしようか。やる分にはマイナスにはならないだろうしね。ローゼはあんまり危ないことしないように見張っといてもらえるかな?」
「承知しております。また何かありましたらご報告いたします。」
「うん、お願いね。ローゼは業務に戻っていいよ。」
「では、失礼いたします。」
そう言ってローゼは執務室を後にした。