第20話ー②
「うん、じゃあこれで行きましょうか。」
「ありがとございます。咲希さん。」
とりあえずこれでアルベロのバレンタインデザートは決まった。
疲れたというか緊張したなぁ。
「本当に俺で良かったんですか?」
「何回言うの。十分だよ。」
本当にありがたいこと言ってくれるねぇ。
まぁ、でも俺にしては頑張った方だし。いい経験になった、ってことだな。
「いやー、それにしてももうバレンタインかぁ。ついこの前年明けたと思ってたのにねぇ。」
「それはほんとにですね。3年ですよ。」
「もう、あと2ヶ月だけだもんねぇ。来季まで。……めんどいけど経理やんなきゃなぁ………やる?」
「やりませんよ。バイトにやらせないでください。」
なんだったらメニューとかも俺にやらせることでは無いわな。
ここは咲希さんと仲良い人を集めて開いたからか雰囲気がいいからな。だからちょくちょく身内ノリ見たいのもあるんだけど。
「で、そいえば今日はどうするの?この後。」
「普通に家に帰る。」
「同じくです。」
「うーん、予定なしかなぁ。まぁ、それがリアルだよなぁ。」
リアルってなんだ、リアルって。
そんな頻繁に誰かと遊ぶことなんて無いし、大きな動きもあるわけもない。
「じゃあ、今日はこれで解散だね。」
「わざわざお店開ける許可くれてありがとうございました。」
「いいよいいよ。私のわがままに付き合わせた結果だしね。」
会社の鍵を閉め、会社を出る。
「莉未は電車でしょ?送ってくよ。」
「えっ、あっ、ありがとうございます。」
バックから鍵を取り出しつつそんなことを言う。
俺は歩いても行けるからまだ、ね。というか、俺と莉未真逆だし。咲希さんも莉未の方向だしね。
「じゃあまた月曜、学校で。」
「はい、また月曜。」
そう言って別れ、車は走っていく。
それとは逆の方に俺も歩き出す。
「バレンタイン、かぁ……なんか日花光に作ってやろうかなぁ。」
そんなことを何となく思いながら俺は家に向かっていった。
◇ ◇ ◇
バレンタインメニュー、売れてて良かったなぁ……一安心だよほんと。
そんなことを思いながら、俺は学校の玄関で靴を脱ぎ、外履きに履き替える。
階段を登り、教室に入って鞄を棚に入れて、席に着く。
ていうかあれからなんだかんだ日が過ぎてもうバレンタインかぁ。早いねぇ。
「はい、これ遥真くんの分。」
「ん?……あぁ、あんがと。」
自分の机でぼーっとしてるとクラスの女子がチョコを渡してきた。
小さい袋に駄菓子屋とかでよく見るような小さいチョコが何個か入っている。ここら辺凝ってるよな。
ちなみにこれは義理、というか義務チョコだ。クラス皆に配ってるし。
あ、あと俺の学校はおやつの持ち込みは別に禁止されてない。だから皆堂々と持ち込む。そこら辺緩いのよ。
とりあえずチョコなので弁当を入れている保冷バックに入れとく。溶けるとあれだしね。
そんなことをしてると、隣に空優がやってきた。
「おはよう、ございます。これ、友チョコ……です。」
「おっはよ。ありがとう。」
あら可愛いアイシングクッキーだこと。
こうゆうデコレーションとかってよく可愛く出来るよな。俺がやると絶対うまくいかないんだよなぁ。多分そうゆう美的センスがないんだろうね。
「これ手作り?」
「あっ、はい。……手作り、駄目、でした?」
「ん?あぁ、別に大丈夫だよ。」
普通に俺はこれすごいなぁってしか思わないから。
俺も自分で作るから別に、って感じなんだよね。まぁ、俺は自分の手作りは人にあげたくないから家族と食べるぐらいなのよね。
「でもほんとにデザインセンスあるよね。」
「ありがとう、ございます。でも本当に、簡単な、もの、ですよ?」
「いやいや、俺がこうゆうのやるとうまくいかないから。結局シンプルに何もデコんない方が見た目良くなるからなぁ。」
クッキー……もとりあえず保冷バッグに入れとくか。
多分、美桜菜からは貰わないと思うんだけどね。去年も学校では受け取らなかったし。
でも、美桜菜のはなぁ……申し訳なくなるんだよ。いいとこのチョコで。
お返しがムズいんだよね。同等というかなんというかね。色々考えるとわかんなくなる。
「そういえば、月輝君も、作ります、よね。」
「作りはするけどあんまり人に振る舞わないかなぁ。店とか学祭の時は特別。1人で作ってる訳じゃないし。」
「なるほど、です。」
自信が無いとかでは無いんだけどね。まぁ、あるとも言ってないけど。
めんどくさいやつだからね。俺は。
ふと周りを見ると投稿してきた人も増え、チョコを貰ったり渡しあったりしてる。
特に女子がなんかキャッキャ楽しそうにしてる。流石にこんなとこで本命渡す奴もいないか。なんとなくそんなことを思った。




