第19話ー④
「はぁ〜散々な目にあったよぉ……」
「迷惑かけたのぅ。」
生徒会室の1件の帰りにそんなことをつぶやく。
30分ぐらい話し込んだんじゃないかなぁ、多分。
「いやーついついね。白熱しちゃった。僕にとっては大事なことだからさ。」
「まぁ、気持ちはありがたく受け取るぞ。」
「いやー、本当に面白かったわ。誘ってくれてありがとね、月輝君。」
「お前にとってはエンタメだろうな……こっちはそれどころじゃないってのに。」
終始ニヤニヤしてたもんな。とても楽しそうだったよ。
それはそれとして、この件がなんとか収まってよかったとしか言えないな。
恋人いる人と2人で行動は控えた方がいい。これが今回の教訓かなぁ。まぁ、天が黙っていたのも悪いけど。
「まぁでも、それだけ天のことを水ちゃんが愛してるってことよね。素晴らしいとは思うわ。」
「ありがと。……でもほんとにお恥ずかしいところお見せしたね。………」
そう言って沈黙してしまった。途切れた感あるなぁ。
なんだろうね。まぁ、何となく想像はできるけど。
ひとまとめにするのはどうかって感じかもしれないけど、でも莉未のことでまぁ少しは勉強してるからね。
そこいらの不安、とかだろうなぁ。めんどくさっ……なんて思いはしないけど。まぁそれに関しては俺がどうこう言うことでもないし。
「どうした、どうした言うてみぃ。2人きりが良ければこの後時間も設けるしのぅ。」
「あはは。まぁ、そんな深刻に考えなくていいよ。」
「良くは無い。わしはお主の恋人じゃぞ?そこはしっかりと話を聞いてやらんとのぅ。」
そうドヤ顔で天が言う。
かっこいい性格してるよなぁ。本当に。美桜菜も達観してるが、それとはまた違う……なんと言ったらいいのかなぁ?年の功?そんな感じの落ち着き、達観してる感じがある。同い年に言うのは失礼かもだが。
まぁ、喋り方とかもあるからなぁ。余計そう思えるんだろうけど。
「……ありがと。でも、うん。不安になるんだ。やっぱり、付き合ってても。ほら、色々違うし………」
「……そんなことか。馬鹿馬鹿しい。まぁ、そんなことだろだろうなとは思うたがのぅ。」
そう言って深く息を吸って吐いた後に、ゆっくりと口を開いた。
「まぁ、まず、不安だとかの気持ちは汲んでやる。だかのぅ、違うだなんだに関してはちょっと聞きづてならぬなぁ。そんなもんを気にしとるんだったら、本当に馬鹿馬鹿しい。いや、本来ならそのような言葉で切り捨ててはならぬのだろうが、お主には今はこれぐらい強く言わんとのぅ。」
玄関で内履きを脱ぎ、外履きに履き替え、玄関の1箇所で話の続きを口にする。
「そもそも聞くが、何が不安なのだ?言うてみぃ。」
「何って……色々だよ………」
「まぁ、察せぬ訳では無いが、お主の口から聞きたいのじゃ。」
上手いよなぁ、話の展開の仕方が。
うーん……というか言っちゃいけないんだろうが、帰りづらいなぁ。
水はうつむいたまま口を噤んだ。
「しょうがないのう。なら憶測で話させて貰うが、雑に言えば気にせんで良い。むしろ、わしはこれでも色々考えて行動するほうじゃからのぅ。わしは、何も問題は無いと判断してお主と付き合っておる。これじゃ不満かの?」
「………ありがと……」
小さく呟いて答える。
そして、顔を上げて、ゆっくりと喋り始めた。
「不安に、なるんだよ。結局、僕よりも男子とかの方がやっぱりいいのかなって思うし。自分でも日に日に愛が重くなってる自覚があってさ、それが重荷になんないかなぁとかさ。」
「なるほどのぅ。だからそれは気にせんでいいと言うておるだろ。のぅ、お主ら。」
「こっちに来た……」
それまでなんでここに居るんだろ、って感じでいたのに唐突にこっちに話を振ってきた。
そんな事言われてもなぁ……まぁ、確かに人の色恋沙汰には興味関心が無いわけでは無いが……
「そう、ねぇ……それを言うならベクトルは違うけれども、私だって付き合ったらいろいろ大変よ。将来的に、だけど。」
「社長?会長?だもんな。」
「暫定ね。あと、会長は叔父上。私は社長。というかこの話は月輝君の方が意見できるんじゃない?」
「当事者じゃないから、なんとも言えんよ。」
美桜菜の言いたい事はわかるんだがな。それでアドバイス出来るかはまた話が別だ。
だったら、莉未呼んだ方が早いまであるぞ?今から呼ぶのは可哀想だから呼ばんけど。
「今言うことじゃないけど、当事者間で話し合いをする他ないと思うぞ。認識のすり合わせは大事、ってなんかで見たし。1回、お互いの気持ちを、本音を話し合った方がいいんじゃないか?」
「ううむ……それもそうじゃの。今日は迷惑かけたのぅ。今度は皆で遊ぼうぞ。……ほれ、水。わしの家行くぞ。」
「うん。」
そう言って、天が水の手を引いて、歩いていった。
こちらを振り返り、またのぅ、と言って。
「一件落着?」
「ふふ、だと思うわ。それにほら、あれ。仲良いでしょ?最初っから杞憂だとは思うわ。ベストカップルよ。」
「だな。」
2人の後ろ姿を見てそんな感想を俺らはこぼした。
「にしても、月輝君があんなもっとも正論を得なんてねぇ……成長したわね。」
「茶化すな。ただの戯言だ。」
「そゆことにしとくわ。」
そゆことにしとく、って……そゆこともなにもないんだけどなぁ……
とりあえず今日は解散ということで俺らはそれぞれ帰路についた。




