第16話ー④
「うーん、舞台裏、ねぇ。」
「何から話そうかしら?」
「ま、最初からでいいだろう。」
美桜菜と顔を見合わせて、話始めることにした。
◇ ◇ ◇
あれはまだ4月だったか。美桜菜がちょこっと有名になってきた辺りで周りの風当たりがそこまで良くなかった頃だったな。
美桜菜が学級委員長の仕事で荷物を運ぶことになって、その手伝いに選ばれた時のことか。
「悪いわね、手伝ったって貰って。」
「はは、まぁ暇だからいいよ。………にしても、これは紅里さんに頼む必要あったのかなぁ。」
俺は、自分が持つプリントの束を見つめて言った。量も重さも別に問題は無いのに手伝いが必要。というか、俺しか持ってない。ふっ、露骨だ。
「馬鹿馬鹿しいわよね。私を贔屓したところでなんの意味も無いのにね。悪いわね、遥真君も。」
「いや、だから、暇だからそれはいいよ。」
「………ねぇ、これもなんかの縁だし仲良ししましょう。」
「やけに唐突だな。」
「だってあなたは私になんの下心もないでしょ?だからよ。」
「まぁ、無いけど。興味無いし……」
「ならいいでしょ?」
「………まぁいい、か。」
それから俺らはそれなりに仲良くなった。お互いぼっちだったし、ちょうど良くもあったしね。
深く関わるようになったのはぁ、美桜菜の電話をたまたま聞いて、それでお仕事を手伝うようになった。そっからだな。話す数も増えたのは。
そんなことがあって、5月だったか、付き合うって話になったのは。
「で、話って?」
「付き合わない?偽装恋人。周りにはそうゆうことにしとくの。」
「…………なんの理由で?」
「思いつき、かしら。面倒臭いのよ、色々。」
訳が分からない。そんな気持ちだけが頭の中に延々と現れる。んー?
恋愛に対する嫌悪、それもあるが疑問、というかどうゆう事だという疑問が強く現れる。
つまり、んー?
「色々、っていうのは?」
「色々よ。本当に。私と話すようになってわかったでしょ?」
「まぁ、な。……正直言って、本当は付き合うってのはしたくない。………恋愛関係とは俺は関わりたくない。だが、嫌な気はしない。ビジネスというのかは分からないがそんな関係なら問題ない。」
「あら、素直ね。もちろんそれでいいわよ。」
こうして俺らは付き合うことになった。割とそこに関してはすんなりといった感じかな。
なんで受け入れたのかは正直いって自分でも分からないが。多分、美桜菜にはある意味信頼があったからかもしれないな。
◇ ◇ ◇
「なーんかあっさりしてるねぇ。」
「そうだよぉ。もうちっとちゃんとしたストーリー無いの?」
「無い。」
「ええ。そうね。」
少しぼかしながら話していたら、そんな文句を言われてしまった。
そんなことを言われてもそれが全てだし………告白?されたのは仕事手伝い行った時だったな。懐かしい。
「でも、これで文句言うならこの先話すことないよ?」
「ええそうね。もう言っちゃえばそっから演出を考えることを私が提案してああなったのよ。以上。」
「えぇ〜、うっそー。」
「そこさらっと言っちゃうのぉ。」
そう、悠華と音露が愚痴るが、そんなこと知ったことない。それが俺らの付き合い方だし。それは昔から変わらない。
どうしたもんか。もう話すことなくなったぞ?
「でも、2人が、付き合った、時は、話題性、凄かった、です、よね。隣のクラスの、全く、興味のなかった、私の、耳にも、入り、ました、し。」
「だなぁ。教室が異常に騒がしかった。」
「あれは驚いたわねぇ。」
「予想外だったな。少し。」
◇ ◇ ◇
「たぁー、疲れたぁ。」
「ちょっと予想外に騒がれたわねぇ。」
公開告白イベントをやり終えた後、美桜菜の迎えに来た車に乗せてもらい、移動する中そんな話をする。
ちなみに、この車を運転するのは叔父さんの会社の運転手の1人。車には詳しくは無いが、外車では無いのと、それなりに高い車だってのが分かる。後、リムジン系じゃない。乗用車タイプ。
ちょっと手伝って欲しいことがあるとかで呼び出されたので、一緒に乗ってるわけだ。
「私ね、どっかでこの偽装恋人は辞めるけど、ずっと貴方とは友達ではいたいなぁって感じたわ。私の秘書にならない?」
「友達はいいけど、秘書は一応遠慮しとく。ま、路頭に迷いそうだったら拾ってくれ。」
「ふふ、それぐらいはいいわよ。と言ってもまだそんな権利はないけどね。」
なんだろうな。友達と同じところで働く、ってのが気まづいと言うかなんというか。あとなんか、社長と秘書?そんな感じの上下関係を作りたくない、ってのがあるんだよな。
「まぁ、それはさておきあの騒ぎよう、どうしようかしらねぇ。」
「ほとぼりはそのうち冷めるだろうけどなぁ。暫くは面倒くさそうだ。」
「まったくね。ま、仕方ないわ。」
「頑張りますよ、っと。」
◇ ◇ ◇
当時の話をしながらそんなアフタートーク?を思い出す。
まぁでも、予想通り面倒くさかったちゃあ、面倒くさかったよな。懐かしい。
そんな思い出を話しながら、2日目はまったりと過ぎていった。




