第13話ー④
すみませーん、プライベートでちょっと遅れました
俺、悠華、音露の3人で下校する。他は方向が違うために、このメンツだ。というか、いつもこのメンツなことが多い。方向的には美桜菜も家は同じなのだが、基本は叔父の所に行くことがほとんどだからな。
昨日もこのメンツで帰った。昨日今日と文化祭の思い出話をする。特に今日は、音露の友達についての話がほとんどだった。
「そっか、ここ受けるんだ。」
「そうらしい。ま、そこまでレベルは高くないしいいだろ。」
「まぁ、2年からレベルごとに4段階で国数英が別れるしね。」
俺らの学校は割と進学、就職どっちもいたり、勉強の得意不得意が別れやすい。だからこそ、2年生からは国数英は4段階のレベルにわけられる。これが、人気の理由でもある。難易度も結構違うからな。
「でも、経杜は大丈夫だろ。賢いし。」
「過大評価?贔屓?」
「なんだよ?そんなんじゃねえよ。」
「そう。」
経杜のことを話す時の音露の顔は、ふにゃっとしているというか、楽しそうな雰囲気を醸し出している。ほんとに大事なんだなと感じられる。
悠華もそれを察しているのか、そんな顔で音露を見ている。
そんな話をして、しばらく言ったところで音露と別れ、悠華と2人になる。
最初は静かだったが、悠華がゆっくりと口を開き1つの質問、というか確認をしてきた。
「告白、されたってね。」
「何処で聞いたんだ?」
「これでも上手く女子とはやれてるの。そして、女子の情報スピードを舐めないこと。」
「舐めてないし、そうゆうこと。理解した。じゃあ、知っての通りかと。」
「そう。」
まさか、その話を出されるとは思わなかった。相手には悪いが思い出したくない。そもそも恋愛系の渦中に放り込まれた時点で叶わん。まぁ、こいつにも告白されてはいるが……冗談だろうし、今もそんな素振りはない。だから、問題ないのだろう。
悠華は少し考え込んだような表情をしてきてから顔を上げ、こちらを向いて、
「ねぇ、私からの告白ってどう思ってる?」
そう聞いてきた。
心臓が締め付けられるような感覚が一瞬訪れた。ドキッ、なんて甘酸っぱいものじゃない。強いて擬音にするならズキ、か。それでも緩いかもしれない。
何故今、このタイミングで。まるで心を読んだように。変な汗が出そうだ。力を入れてないと腰から砕けて、座り込みそうだ。
かすれないように、いつも通り、変わらないように、喉につっかかっている声を無理やり引きずり出して表に出す。
「じょ、冗談じゃないの?」
及第点。詰まりはしたが、しっかりと声は出た。
もう何も分からない。思考が上手くまとまらない。怖い?なんだろう。形容しかねる何かが体にまとわりつく感覚。悠華にしか感じない何か、だ。
「冗談じゃないよ。顔を作ったりして、感情を表に出さないことが得意なだけ。」
「……………ご、ごめ、ん……………」
悠華からの冗談じゃない、という発言は流れ的に薄々想像できた。だからこそ、返事も一応できた。一応、だ。
改めて返事をしてからは、結局会話は無く、そのまま悠華と別れた。
◇ ◇ ◇
「ただいまー。」
「あっ、お兄ちゃん、おかえり。」
家に帰ると、ぱたぱたと日花光が出迎えてくれる。
リビングに入り、文化祭について聞く。
「どうだった?」
「楽しかった。お兄ちゃんのクラスにも行ったよ。」
「どうだった?」
「お兄ちゃんの料理って感じがした。」
「はははっ、ま、企画提案は俺だしな。俺が教えてるし、そうゆうもんだろ。」
「そうなんだ。」
日花光はばあちゃんと来てたし、俺は俺で基本的に今日は家庭科室に引きこもっていたりダウンしてたりで合わなかったが、元々そんな約束もしてないで、別に問題は無い。
何が楽しかったのかとかの話をしながら、荷物を自室に置いてきたり、お風呂、夕食の準備をして、それを済ませ、お風呂に入り、食事を取り、寝る時間になった。
「ま、楽しかったなら良かった。じゃ、おやすみ。」
「うん。おやすみ。お兄ちゃん。」
日花光と別れ、自室に入り倒れるようにベットに横になる。
横になって思うのは今日のこと。言い方は悪いがノイズのように1日目のことや今日のほかのことを思い出そうとすると必ず頭をよぎる。
気持ち悪い。うざい、うざい、うざい。なんなんだほんとに。思考がまとまらないまま色んな感情がぐちゃぐちゃに混ざって自分でもわけが分からなくなる。
仰向けのまま、目を右腕で覆い隠しながら冷静になろうとするが簡単にはいかない。
自分のことなのにほんとに自分のことは分からないものだな。当たり前か。自分のことで分からないことだって多々あるものだ。でも、予想外。ここまで深く深く根ざしているなんで。だって、別になにもそこまで特殊な原因があった訳でもないのに。
明日、そして明後日は振り替えで休みでよかった。こんなままではどうしようもない。少しは整理出来ればいいが……
「というか、問題……は失礼な言い方だけど、悠華のことは考えないとな………」
感情うんぬんのことが本当なら、あっちは大丈夫だか。俺はどんなリアクションになるだろうか。
思案しようとする思考が止まる。これより先には踏み込ませないかのように。そして、胸が苦しくなる。吐き気もしてくる。
早く寝なきゃ。目を瞑り無理やり眠りについた。




