第9話ー④
「捨てて来たぞー。」
ゴミ処理場から戻り、教室に着くと、あらかた配置が終わっていた。
次はその他のインテリア等を置いていくらしい。今は、何処に何を置くかを話し合っているようだ。
「あ、月輝君。今、家庭科の、先生が来て、1時間ぐらいなら、家庭科室使っていい、らしい、です。」
「ん。了解。しかし、1時間、か…………」
1時間でできることはかなり限られてくるし、急だったので、なんの準備もしていない。仕込みは、俺が自宅でやるし…………
「ま、とりあえず家庭科室に行こう。最終チェックだ。」
「わかりました。」
空優が皆を呼びに行き、家庭科室に向かう。
家庭科室についた所で、とりあえず、まずは作るものを確認する。
「作るもの最終確認するぞ。まず、メイン。サンドイッチ。味は卵と、ハムレタス。ホットサンド。後、キッシュ。サラダも用意する。デザートは、パンケーキ、プリン。後、シフォンケーキだったな。」
「おっけー、まーかせて。」
大丈夫そうかな。うん。今回、勝手な個人的判断として、デザートに卵を使用しないで作っている。何かしらは食べて欲しいからね。
「シフォン、当日切って出すでしょ?どーする?」
「あー、2でいいんじゃないか?。2かけずつでちょうどいいだろ。」
「んー、だね。」
なんだかんだで、俺が仕切り役で安定したみたいで、質問と確認が殺到している。
んー、デザート系は1時間じゃ完成しないけど、サンドイッチとかならいけるな。
「サンドイッチ確認ついでに最後まで作って皆に差し入れ持ってくぞ。」
「りょーかーい。」
「はーい。」
その後も当日の提供の仕方や、レシピの確認などをした。気づけばあっという間に、1時間が経過していた。作ったサンドイッチを持って教室に持っていく。
「サンドイッチのお裾分けと共に〜戻ったよぉー。」
調理班の1人がそう声を出すと、ぞろぞろと人が集まってきて、お好きな方を取っていく。どこからか、美味しいという声も聞こえてきた。
俺の持っているトレーからサンドイッチを取った美桜菜が隣に来た。
「なんか、懐かしいね。サンドイッチって。」
「懐かしい……?あぁ、あったな、1回だけ。」
その1回というのは、ちょっとした公園でピクニックをした時の話だ。ピクニックというかは、怪しいところではあるが。
美桜菜が、一口食べて微笑むと
「ん、懐かしい。月輝君のって感じがするわ。」
「変わんないだろ。」
「案外、変わるわよ?癖ってやつね。」
「…………そうか。」
からかったような口調で、美桜菜は言った。
気づけば、悠華と音露も食べに来ていた。
「んー、美味しい。」
「文化祭レベルは超えてるな。」
と、それぞれ高評価を貰えた。周りの反応的に、これで大丈夫そうだな。
「やっぱり、料理上手だね。調理担当リーダーは伊達じゃない、ね。」
「なりたくてなった訳じゃないけどな。」
辺りを見渡すと、セッティングもあらかた終わり、とても、お洒落になっていた。
「これこそ、文化祭のクオリティじゃないだろ。」
「頑張ったのよ。ほら、デザイン班のメニュー表も凝ってるでしょ。」
そう言って美桜菜が見せてくれた、メニュー表は確かに、なかなかのクオリティだった。どっかのお洒落なレストランかのようなシックで落ち着いた表紙。てゆーか、何だこの店名?筆記体で書かれてはいるが……………
「それは"liens"よ。フランス語で絆、ね。」
「ほー。名前まで洒落てるのな。」
「そうなのよ。お洒落な内装になりそうだからってね。カッコつけちゃって。可愛いわよね。」
そう言って口元を隠して笑う。たまに見せるドSモード?の、表情はどこか生き生きしているようにさえ見える。美桜菜という存在を理解するのは、八割も無理かもしれないな。
皆、サンドイッチを食べ終わると、次は接客の最終確認に入る。殆ど関わってこなかった俺ら、厨房組がお客さん役として接客を見ることになった。
ーーーーー驚いた。一緒に教室で作業することもあるので、離れていても声が聞こえる時があったが、ここまでとは。おそらく、というか、十中八九、マナー講師は美桜菜だろう。動きまでもが、学生にしてはできすぎている。
接客の最終確認が終わり、美桜菜が総評を皆に聞く。まー、言わずもがな賞賛の声しか上がらなかった。
「どう、凄いでしょ。」
「俺らのクラスは、どこを目指してるんだろうな。」
「いいんじゃない?人生経験、人生経験。」
そう言って笑う、悠華にそれもそうだなとしか返すことは出来なかった。
しばらくすると、音露と美桜菜もこっちへとやってきた。
「なんであそこまでクオリティあげたんだよ。」
「やるなら徹底的に、よ。」
まぁ、徹底的に、ではあったかな。でも、
「本来の男装女装カフェのテーマにして、"カフェ"の部分が強くないか?」
「た、確かに。今日は、衣装無し、でしたけど、それでも、感じますね。」
俺の意見に空優も同意する。確かに、衣装はないけど……………
「だから、衣装を着るのよ。"男装女装"、も"カフェ"も完璧にするから楽しみにしてなさい。」
そういい、美桜菜には珍しいドヤ顔を披露する。それも、そう…………かな?
多少の疑問は残りつつも、ついに文化祭当日を迎えることになった。




