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僕らの青春は苦悩から  作者: 好音 コルヴォ
高校2年一学期
23/83

第6話ー②

なんと、もう1作の方もやっと投稿されました。こっちをもっと早く書ければこんなことには…………いや、そうとも限らないか。ということでそちらも見てください。よろしくお願いします。

 んー、磯の匂いが凄い。水が冷たい。

 海バイト5日目、今年最初の海に俺は入っていた。

 地平線を見つめてボーッとしていると、悠華が話しかけてきた。


「なに、昔の少女漫画っていうか、可愛いを意識しすぎたぶりっ子みたいなことしてるの?」

「それ、どうゆう状況だよ?」

「今みたいな状況だよ。浅瀬で足だけ入れて、遊び方も水パシャパシャしてるだけ。なんでそんな緩いの?」

「……………………………いいの。仕事戻りな。」


 よく分からない疑問を投げかけてきた悠華を仕事に戻らす。

 はいはいと諦めたような返し方をして帰っていく。

 まったく、こうゆうのは人の勝手だろって。


「日花光ー、あまり遠く行くなよー!!」

「はーい。」


 泳いでいる日花光に一応声をかけておく。まぁ、音露がついてるし大丈夫だろとは思うけど。

 暑いな、太陽が。そろそろ出るか。

 少し遠くを見るとなんか凄いサンドアートが出来上がっていた。

 それをやっているのは、なんと莉未である。

 かなり大きな立派な和風のお城が出来上がっており、通り過ぎる人が、あれヤバくない?とか凄っ!とか言っているのが聞こえる。

 この才能に驚いた俺は、莉未の元へと向かった。


「これ、何城?」

「えっ?あ、特にモチーフはないです。海で砂で作るとしたら、城かなと思ったので。」

「もしかして、築城の才能ある?」

「そんなのないですよ。」


 そう笑いながら言うが、それほどまでにモチーフ無しとは思えないほど精密な造形とリアリティーがある。

 元々、海で遊びたいけど、水着に困った挙句に買わなかったらしく、軽く水で遊ぶ程度にしてすぐに砂の方に行っていた。それがこんなことになろうとは。

 でも、なんか見てるのも面白いから見てようかな。


「お隣失礼するよ。」

「はい。…………………………………………まだ終わらないですよ?」

「いいよ。見てるだけだから。」


 そうですか、と言うと莉未は作業に戻る。

 これで完成じゃないんだからな。まぁ、1番上の屋根とかも無いしな。

 ………………………………………………見てるだけとは言ったが、静かすぎてなんかあれだな。


「最近どうだ?」

「唐突になんですか?どうって何が……………」


 聞かれるとたしかにそうだなと思う。

 と言っても具体的な内容なんて考えてなかったんだよな。

 んー、どうしよっか。


「じゃあ、そうだな、最近ほら、話す人増えただろ。これまたアバウトだが、どうだ?」

「そうですね、楽しいです。皆、案外普通に接してくれますし。」

 

 ま、確かにそうだよな。俺もちょっと驚いたよ。

 なんて話している時も築城は進んでいる。

 物凄く立派だな、と見ていると足跡が聞こえてきて振り返ると音露と日花光が戻ってきていた。


「わー、莉未お姉ちゃん凄いね。これ1人で作ったの?」

「うん、そうだよ。」


 日花光の疑問に笑顔で優しく答える。

 なんだかんだで、莉未の敬語じゃない喋り方ってレアなんだよな。仕事とか俺らには敬語だし。

 ちなみに空優は基本が敬語なので、むしろ砕けた喋り方の方が難しいらしい。


「で、これ作った後どうするの。」

「落城させますかね、何時もは。建てて跡形も残さないように崩すのがいつもの流れなので。」


 音露の質問に予想外の答えが返ってくる。落城させるのか、これ…………… いい出来なのに。

 どうしますか?と聞かれたので何時もしているようにしていいよと答える。つまり、落城は確定したのだ。その代わり、築城完成時は撮影することにした。


「後、どのくらい。」

「後、雌のシャチホコで完成です。」

「えっ、あれって性別あったの?」

「ありますよ。北側に付いていて口の開きが大きくサイズもちょっと大きいのが雄。南側に位置し、口の開きが小さく雄よりも小さいのが雌です。」

「初めて知ったよ。」


 そんな初知り情報を、感心しながら聞いているうちにも着々と鯱が出来上がってくる。

 程なくして、鯱も出来上がり、パッと見は完成に見えた。

 だが、完成?と聞くとまだという。理由を聞くと、

 

「個人的には、細かいモールドがまだ足りないんですよね。まぁ、そのために先程作る前に、海の家で爪楊枝貰ってきたのですが。」


 そう言い、ポケットから爪楊枝を取り出し袋から出すと、屋根の瓦を描いていく。

 その超精密な造形に驚きを隠せない。

 何時もしているようにしていいと言ったが惜しい気持ちが強くなるな。

 でも、ある意味壊れるのも美、か。


「お兄ちゃん、凄いね。」

「あぁ、そうだな。俺もこんな才能あったの知らなかったよ。」

「僕なんて無理だね。こうゆうの苦手だもん。芸術分野は音楽だけだもんな。しかも楽器だけ、得意なのは。」


 と、瓦を造形していく莉未を見ながらこそこそと話し合う。

 そう言えば今何時だろ。とも思ったが、それよりもこれを見ていたい気持ちの方が断然強い。

 と言っても、最後まで飽きずに見ていたのは俺ぐらいであり、日花光は流石に飽きてしまい、海に行ったりしていた。そちらには音露が付き添ってくれたおかげで俺は最後まで見ることが出来た。

 完成した頃には、バイトを終えた悠華、空優、美桜菜も噂を聞きつけやってきた。

 そして、完成した頃には綺麗な夕日も出ており、夕日に照らされて美しく大きな砂のお城が建っていた。

 皆で凄いねとか言いながら写真を撮り、最後に、本人の手によって儚く落城された。

















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