第4話―④
皆が帰ってから、私は家に電話をし許可を貰って、月輝君宅の夕食を作ることにした。
幸いなことに食料は普通にある。3人分作るくらいは問題なさそうだ。
まぁ、私は作って食べたら帰るのだけれどね。
さて、何を作ろうかしら。冷蔵庫にあるものと言っても限りもあるし、買い物もしてないはずだからね。
やっぱり、追加で買ってきた方がいいかしら。
そんなことを考えてると、ゆっくりと上から月輝君が起きてきた。
「あー、悪い。何も無いだろ。………飯は食べれる。」
「了解したわ。食べれるなら、お粥じゃなくて私たちと一緒でもいいのかしら?」
「あぁ………」
そう、ねぇ………少し消化にいいものにしようかしら。
と言っても、物がねぇ………ちょうど良くないのよね。
まぁ、適当に作りましょうか。あと、手伝いたいはずだから、日花光君にも手伝ってもらいましょうかしら。
「日花光君手伝って。」
「はーい。」
去年も、2、3回ぐらいあったなと思いながら、料理を進めていった。
「できたわよ。」
「ありがとう。」
結局悩んだ末に、ちょうど冷凍されていた冷凍水餃子とスープ。あと、豚肉の野菜炒め。シンプルになっちゃった感は否めないけど、仕方ないのよ。うん。
いただきますをして、食べ始める。
「また、上手になった?」
「そんなことはないと思うけど。」
「美味しいよ!」
「ありがとう。」
月輝は、軽くいなすが日花光君の言葉は素直に受け止めとく。
まぁ、それぐらいはね。まだ、小さいしね。なんて思いながら、箸を進める。
と言うか、月輝君大丈夫かしら。なんか、素になりそうだけど………
日花光君には隠しているのに、いいのかしら?
そんなことを思ったけど、そもそも今風邪であまり喋れてないから、大丈夫なのかもしれないわね。
談笑をしながら、そんなことを少し思ったが、みんなとの会話に思考を戻した。
「ご馳走様。」
「ご馳走様でした。」
「……ご馳走様。」
皆食べ終わり、食器を洗う。
月輝君も手伝おうとはしていたけれど、病人は寝てなさい、と言うとはーい、と嫌そうに返事を返してきた。
まぁ、日花光君が手伝ってくれると言うから、それには素直に甘えるけどね。
……………やっぱり、しっくり来ないわね。将来、ここにたっている人は、誰になるのかしら?
ただ、私は違う。それを付き合っていてよくわかった。お互い、友達か親友ぐらいがちょうどいいと思った。それでも、1年生が終わるまでは、付き合ってなくちゃいけなかったのだけれどね。
なんて、懐かしいことを思いながら、食器洗いを終えて、帰り支度をする。
「行くのか。待って、見送る。」
「寝てて。」
「玄関までならいいだろ。」
「はぁ、まぁそれでいいわよ。」
「僕も、僕も!」
玄関までの見送りを許し、バックを背負って扉を開ける。
「じゃあね、おやすみ。ちゃんと休んでよ。」
「じゃあねー。」
「まぁ、休むよ。じゃあ。」
私は、手を振って帰った。うーん、疲れたわね……。明日は、来れるかしら?
◇ ◇ ◇
「あー、だるい。一日行かなかっただけでもう、めんどくさいよ。」
そんなことを考えながら登校していると、美桜菜がやってきた。
「おはよう。治ったのね。」
「……ん、おはよ。ばっちり。」
「テンション、素のままじゃん。」
「そんなことないよ。昨日のお礼も改めて言いたいしさ、元気だよ。」
繕ったように笑顔を浮かべ、両手をあげてひらひらと手を振る。
それを訝しげにじーっと見つめてくる。完全に疑いの目だ。
察しは、良かったからな。それで、結局素の喋り方になったんだっけ、2人の時は。
「まぁ、喋り方なんていうの私はどうでもいいのだけれどね。」
「だろうね。あっ、改めて昨日はありがと。」
「いえいえ。………はー、話題がないわね。」
「ないな。本当に。」
俺のその言葉を最後に、本当にぱったりと話題がなくなった。慣れっこだけど。
この静かな時間は、色々と考えてしまう。本当に色々だ。
自殺志願者だった時のことだとか、美桜菜と付き合ってた時とか、今の自分とか。
話題を探すというのは、もうとっくにやめてしまったことだ。だって、実は共通の話題の方が少ないから。
と言うか、趣味とか一緒の人なんていなかったような?
ははっ、今年は楽しくなりそうだな。
そんなことを思っていると、空優とばったり会った。
「あっ、おはよう、ございます。」
「おはよ。あれ?こっちの方向なんだ、家。」
「あー、そう、なんですけど、寝坊して……」
「なるほどね。」
「せっかくなら、一緒に行きましょう。」
「はい。」
話題の何も無かった2人に、人が増えたのは僥倖だったかな?
話題作りは、美桜菜の得意分野だし任せてもいいだろう。
ただ、最近いじられることが多いんだよな。多分、関わっている女子が見目がいいからな。
興味ないって、逃げても逃げれないんだよね……
「そういえば、空優ちゃん、前欲しいって言っていたやつあったじゃない?叔父上があげるって言ってるのだけど。」
「え、いや、申し訳ないですよ。結構高いし……」
「何の話?」
「化粧品よ。リップ。メーカーとタイアップした時のコネがあるらしくてね。なんとなしに、話したら。私も、軽く断ったんだけどね。1度聞いてみろと。そうゆう訳よ。」
「なるほど。」
「聞いてた通り、凄い方なんですね。申し訳ないので断らせてください。」
「そうしたいけど、そんな理由じゃ駄目だと思うわよ?」
あー、去年の夏とか、正月とかにあったことあるけど、気前がいいんだけど1度あげるって言うとなかなか、譲らないんだよね。
優しい人なのはわかるけど、良くしてくれたから、別れましたって言った時、説得するの大変だったんだよね。付き合っている理由知っているはずなんだけどね。
「じゃあ、お言葉に甘えて、貰い、ます。」
「良かった。叔父上に言っておくわね。」
「リップ、ねぇ。女子高生にもなるとそんなお年頃か。」
「まぁ、そうですね、はい。」
そんなたわいもない話をしながら、ちょっとゆっくりめに学校に登校した。
結構、楽しかった。




