第4話―①
6月になり、梅雨の時期になった。最近は雨も多く、じめじめとしている。
そんな中俺は今、図書室で本を読んでいた。
「外、雨すごいな。」
今日は、放課後の時間を使って、2年生になるとある調べ物学習的なのをやっていた。
というのも、朝晴れていたので、傘を忘れたのが理由の一つとしてあるのだ。
吹奏楽部の演奏の音と、雨で中での練習になってしまった運動部の走り込みの声が響いている。
俺は、結構すぐ帰るタイプだからちょっと新鮮。
そんなことを思いながら、頑張って帰るか…、そう思った時だった。
「よっ、まだ居たの?」
「………悠華。煽りにでも来たのか?」
「違う違う。傘忘れたなら、入ってく?」
「うーん、お言葉に甘えて。」
俺はそう言って、机の上に広げてある、プリントや資料。筆箱などを鞄にしまう。
「よし、行くか。」
「行こー!」
俺らは、図書室を出て階段を降りる。
時折すれ違う運動部を避けながら、喋りながら降りていった。
「んっ、しょ。ほい、お入りなさい。」
「失礼します、っと。」
そうふざけながら、傘に入れさせてもらうと自然と笑いがこぼれる。
相合傘なんていつぶりだろう。約1年ぶりぐらい?どうでもいいけど。
「割とすんなり、女子と相合傘するんだね。」
「はは、さすがに誰でもとまではいかないけどね。強いて言えば、知ってるやつだから、かな?」
「ふーん、そうなんだ。私的には、勇気を振り絞ったんだけどな。」
「なんかごめん。」
「いいよ。ただ、あの時の告白はそれだけ本気だったってことだけどね。」
本気だったとは、ちょっとびっくりだな。素はネガティブで根暗で………といい所なんてないような俺なんだけどな。
まぁ、普段はそう見えないように振舞っているから、分からないとは思いたいけど。
「どうする、前2人で行った喫茶店行く?」
「いや、時間的に今日は無理。」
「そっか。……雨、凄いね。」
「だな………」
あっ、会話途切れた。案外途切れるって珍しいかも。まぁ、2人きりというのも、レアと言えばレアなんだけどね。
2人の歩く音はほとんど聞こえない。雨の音でかき消されるからだ。傘にあたって跳ねる雨の音が、楽しげなリズムを作っている。そして、時折車の走り去る音が聞こえる。今日は、よく音を感じる日だ。
ただ、静かに俺らは歩いていた。
ちょっとこの空気は………
「そう言えば最近は近寄ってくる男子も減ったよな。」
「あー、月輝君たちと一緒に居るからかな?」
「そんなんで効果あるんだ。」
「案外、あるんだよね。」
ふーん、だからなのか。まぁ、関係ないと言えば関係ないんだけどね。
でも………
「寂しかったりする?」
「全然。私は、最初っから月輝君一筋だから。」
「お、おう。ストレートに言ってきたな。なんで好きなの?」
「まだ、秘密。」
そう言って、悠華は右手の人差し指を立てて口にあて、笑っていた。
本当に不思議な人だ。大丈夫だろうか、この人は。
「お前のこれからが心配だよ。」
「ん、なんで?」
「俺なんかを好きとか言っているから。」
「好きは人それぞれ、だよ。」
「いや、まぁ、それはそうなんだがな。」
俺は、少し苦笑した。
「俺なんか幸せになっちゃいけない人間なんだ」なんてそこまで言う気は無い。ただ、今は誰かと交際することも好きになることも想像できない。それは、美桜菜と付き合っている時に強く実感した。
どこか、欠けていて歪に歪んでいる。それが俺なんだろう。
「あっ、悠華はこっちだったよな。俺近いから、あと傘いいよ。」
「えっ、そう?了解。風邪ひかないでね。」
「おう。じゃあな。」
「じゃあね。」
俺は、そう言うと走って家へと向かった。
大丈夫だとは言ったけど、雨は未だに勢いを弱めることはなく、冷たく体に打ち付ける。
家が見えてきた。急いで中に入る。
「ただいまー。あー、寒………」
「お兄ちゃん、おかえりー。」
そう言って日花光が出迎えてくれた。
どうやら濡れていないようだ。
「傘持って行ったけ?」
「ううん。前、忘れちゃっていたから。それ使った。」
「なるほど。俺は、濡れたから拭いてくる。」
「りょーかい。」
そう言って、日花光は可愛いく敬礼ポーズを取った。
それを見たあと、俺は洗面台へと向かった。
棚から、タオルを取りだし、とりあえず頭を拭く。制服も濡れてはいるが、問題ないだろう。
とりあえず、制服を脱いで私服へと着替える。
あれ、すっかり忘れていたけど、冷蔵庫に食べ物あったよな?
そんなことを思いながら、着替えを済ませ、使ったタオルを洗濯機に入れてリビングに戻る。
「ハッ、ハッ、ハックチュン……んん…」
やばい、くしゃみ出ちゃった。まぁ、大丈夫だよな。
とりあえず、っと…………あるな、食料。
確認を済ませると、珈琲を入れる。寒いからな、暖かいの飲みたい。
「日花光、なんか飲み物いる?」
「僕も、珈琲飲む。」
「砂糖、2つだよな。」
「うん。」
日花光のコップも取りだし、2人分の珈琲を入れる。
うーん、時間的におやつは無しかな?
「ほい、珈琲。」
「ありがと、お兄ちゃん。」
俺は、日花光の隣へと座る。2人だと、ソファーさえあれば、座るところ基本的に事足りるんだよな。
そして俺は、冷えた体を温めるため、珈琲をすすった。
ちょこっと解説もそこまでネタがないので、必要かな?って時に後書きに載せる形にします。




