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なぜこの時期なのか、戻るなら高校を決めるタイミングだとか就職先とか、部活を決めるタイミングとかあるのではないか。
そう考えてはいたが彰のなかでなんとなく答えがわかったような気がした。
この大学1年生という時期に自分になにがあったか考えると答えはそう。
元カノと別れたという事実だけがあった。
大学の1年生なんて緩いものでそうそうなにかトラブルや人生の転機なんてものはない。
そんな時期に、しかももう入学して半年以上経っているこの時に戻っているなんてそれしかない。
彰は確信していた。
だが正直元カノとの別れが今日という日なのかどうかは憶えていない。
理由ぐらいは憶えているが日にちまでは憶えていない。それはそうだろうもうかれこれ10年は経っているではないか。
ふと当時の自分の気持ちを思い出してみた。
確か別れた理由は、、、
ここで自分と元カノとの関係をおさらいして整理しよう。
高校の同級生であり部活が一緒だったのが距離を縮めた要因だったはずだ。
そして高校1年生から別れるまでずっと付き合いを続けていたはず。多少の喧嘩はあれど別れるという話はしたことがなかったな。
ではなぜ急に別れたのか、そこだ。確か自分は学生という立場になり、元カノはもう就職していたんだったな。
学生生活とバイト三昧の日々を自分は送り、相手は社会人という立場から段々連絡だけで会う時間が少なくなってきていた。
それに元々人付き合いが苦手な元カノは、ストレスを溜め込んでいて会ったときは必ず愚痴を聞かされていたんだ。
そうだ!!それで段々疲れてきて付き合ってる意味あるのかなとか子どもっぽいことを考えていたはずだ。
それで自分が別れを切り出した時に、相手の反応が自分を必要としているのかどうか試そうとしていたはずだ。そこで普通に受け止められて別れた。