表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Skies Heart  作者: みやびなや
グレイ編
13/27

予想外の決着

◇◇Side グレイラディ


 死を前にした者は、走馬燈なるモノを見る、という言い伝えを思い出す。

 目の前に迫る暴風を眺めながら、私はそれが事実なのだと思い知った。


 過去の思い出が、走り抜けるように浮かんでは消えていく。


 

 ――――本当は、私は民のために生きているわけではないのだ。



 かつて、私が幼い頃に父が死んだ。

 人間の手に掛かって殺されたのだという。


 父が死んだときは、当然悲しかった。

 母は私を産んですぐに亡くなったのだと聞かされた。

 だから、私にとって親は父だけだった。

 母を知らない私が道を違えぬ様、常に立派であろうとした父。

 一人の親として、それと同時に、エフレアの領地を守護する父を、民は口をそろえて名君だと讃えた。

 そんな父の死は、娘として当たり前に悲しかった。


 けれど、悲しんでばかりもいられなかった。

 人間を……いや、父を殺めた者を憎む間すらなかった。

 次に私を襲った感情は、不安だった。

 どうも、私には魔権という力が非常に高い水準で宿っているらしい。

 領主であった父から受け継いだのか、あるいは天が私に授けたのか。

 魔界において、領主亡き後に次の領主となる者は、最も高い魔権を有する者である。

 そんな決まりによって、私は望んでもいないのに領主という地位に就くことになった。


 まだ幼い身で、なにをどう治めればいいのか。

 治世など何もわからない私は、毎日が不安で押しつぶされそうになっていた。

 幸いなことに、私は配下に恵まれた。

 我らに平穏な日々を与えてくれた前領主の宝を支える事が、今は亡き父に出来る恩返しであると。

 そう言って、皆は右も左も分からぬ私に様々なことを教えてくれたのだ。


 けれど、一生懸命だった彼らには悪いが、教えてもらえたのは為政者としての知識だけだ。

 為政者としての視点、為政者としての決断力、為政者としての在り方。

 そういった、当時の私が本当に求めていたものを与えられる配下は、一人だっていなかったのだ。

 けれど、それも仕方がない事だと思う。

 そんなもの、当事者にならなければ誰だって育みようがないものなのだから。

 それは本来、長い時間をかけて父から私に受け継がれるべきだったもの。

 その大半が私に受け継がれないまま父は死に、私は領主になってしまったのだ。


 私の判断が民を富ませ、私の判断が民を殺す。

 まだ年端もいかない少女にとって、背負うには重すぎる責任と言える。

 “失敗は誰にでもありますよ”

 “上手くいかなくとも、また頑張ればいいのです”

 だから安心しろ、と配下の者は言う。

 は、そんなことが私に許される筈がないではないか――――。


 民を苦しめる領主に何の価値があろう。

 たとえ、そこに一切の悪意が無かったとしても、求められた機能を果たさない存在(りょうしゅ)に意義は無い。

 幼い私が自分の価値を証明する方法など、優秀な領主であること以外になく。

 たとえそれが自分を苛む重責だとしても、そんなモノに縋るしかなかったのだ。



 ――仮面を被ろうと思った。それは、立派であるほどいい。



 思えば、口調を作り始めたのもこの時だ。

 民が求めているのは小娘ではない。

 それが不安の正体であると自覚するのに、そう時間はかからなかった。

 民が求めているのは優秀な領主。

 高い魔権によって領地を侵略から防ぎ、

 明日の安全と幸せを保証し、

 自らの利益に固執せず、民の利益に奉仕する。


 そこに、私という要素はむしろ邪魔でしかない。


 グレイラディとして振る舞う限り、常に未熟が付きまとう。

 故に、私は自分の不足を、模倣という形で補った。

 生前の父を思い出し、本で賢者の考えに触れ、歴史を遡り為政者としての考えに触れた。


 必要なのは私ではない。

 

 昨日は父の真似をした。

 今日は賢者の真似をした。

 明日は本の真似をする。


 未熟な娘が語る理想など、誰も必要としていない。

 ひたすら現実を見据え、その中で為政者が為すべきことを選んでいく。

 私という少女の顔を、良き領主としての仮面で塗りつぶす。

 そうして初めて、エフレアの領主という機能が円滑に機能するのだから。


 ――私が善き領主であろうとしたのは、ただ自分の価値を証明するために。

 ――与えられた役割をこなすことで、初めて私は誰かに必要とされるのだ。


 ホープとルイ、と呼ばれていたか。 

 二人を殺そうとしたのもその一環だ。

 人間への復讐、なんて考えでは断じていない。

 人間が憎くないかと問われれば、迷わず憎いと答えるだろう。

 けれど、今更そんな下らない私情を挟むことはあり得ない。


 二人を殺そうとしたのは、ただひたすらに民の為。

 いずれ敵になるかもしれない脅威をここで刈り取る事こそが、明日の民の安全に繋がる。

 だからこそ、この二人はここで倒しておかなければならなかったのに。

 それが出来ない自分に価値は無いというのに。

 民の不安を取り除けない領主などいらないのに。

 

 いや、いいか。

 どうせ死ぬねば、この不安から解放されるのだから、今更そんなことを考えても仕方がない。

 ほんの少し、年頃の娘のように遊んでみたかった、なんて後悔がよぎったが、今となってはどうしようもない。



 迫る竜巻。

 あれを喰らって生きていられる方が嘘だ、と遅くなった時の流れの中で思う。

 せめて、痛みすら感じない間に死ねればいいな、と目を閉じる。


 そして、私の体は逞しい何かによって、突然抱き抱えられた。


「え、ひゃ――――――!?」


 突然の浮遊感があった。

 次いで、爆音と衝撃が走り、空中で支えが揺らぐのを感じる。

 けれど、私を抱き上げた腕は決して私を放すことはなかった。

 そうして僅かな間の後、僅かな衝撃。


「――――グレイラディ様、ご無事でしょうか?」

「え…………?」


 訳が分からぬまま、聞き慣れた声に目を開く。

 そこには、多くの裂傷を体に刻みながら、それでも微笑みながら私を見下ろしているバシアスの姿があった。


「お守りできたのなら、良かったです。しばしお待ちを。少々、行ってまいりますので」


◇◇Sideルイ

 

「――――――――」


 敵は健在だった。

 フェテレーシアの風が直撃する寸前、バシアスはグレイラディを抱えて跳躍し、竜巻の圏内から逃れたのだ。

 竜巻は彼らの背後の壁を木っ端と砕いてなお衰えぬ威力があった。

 その中から、本当にギリギリとはいえ生還するとは、余程の幸運に恵まれたのだろう。


 けれど、流石に無傷とはいかなかったようだ。

 否、むしろその有様は満身創痍とさえいえる。

 彼が抱きとめたグレイラディには傷一つないように見える。

 けれど、その代償に、バシアスの体は見るに堪えない程の傷が刻まれている。

 特に、主を庇い盾にしたであろう背中はズタズタに引き裂かれていた。

 加えて、口の端からは細く赤い筋が滴っている。 

 あの威力が掠めたのなら、きっと内臓も酷いダメージを負っているのだろう。

 

 最早、アイツは戦えない。


 衣服も肌も、皮が剥げたトマトみたいになっており、見ているだけで痛々しい。

 体は揺らぎ、主を抱える腕も、どうにか踏ん張っている足も、震えて幽霊みたいに頼りない。


「――――――――」


 何か、バシアスは短く腕の中の少女に語り掛ける。

 その後、彼はグレイラディを降し、ふらふらとこちらに向かってきた。


「な、なにを……?」


 震えるような、グレイラディの声。

 そこには、戦闘中までの威厳と余裕に満ちた響きはまるでない。

 まるで、壊れてしまった大切なおもちゃを見て、今にも泣きだしそうな子供のような声だった。


「止めぬかバカ者! バシアス。よもや貴様、その体でまだ戦おうというのではあるまいな!」

「いえ、自分の体の事は自分が一番分かっています。残念ながら、私はもう戦えない……」

「であれば、向かう場所が違うではないか! 貴様、何を考えている!」

「安心してください。絶対に、グレイラディ様はお守りします……」


 きっと、今も激痛に侵されているのだろう。

 だくだくと流れる血を零しながら、彼はゆっくりとこちらに歩いて来る。

 そうして、身構える俺達の前に来たところで、バシアスの体はがくんと沈む。


 踏みとどまれなかったのか、彼は立膝の姿勢となり、手を地に着いて頭を下げていた。

 あれだけ容赦なく振る舞った男が、今は土下座をしているみたいにみっともない。

 けれど、それを蔑む気にならないのは、何故だろう。


「……何をする気だい?」


 不自然なバシアスの行動に、ホープが言う。

 全く警戒を緩めないその声に、バシアスが厳かに答える。


「……それは、お前たち次第だよ」

「どういうつもりかな?」

「……お前達に頼みたい。我が主、グレイラディ様に危害を加えることなく、逃がしてやってほしい」

「なっ……バシアス、貴様!」

「随分と身勝手な事を言うんだね。最初に狙って来ておいて」

「勝手な言い分だって言うのは分かってる。その憤りは、後で俺にぶつけてくれればいい。煮るなり焼くなり好きにするがいい。その代わり、グレイラディ様にだけは手を出させない」


 バシアスは低い声で、犠牲になると告げる。

 その場しのぎの必死さはまるでない。

 壊される事も。

 殺される事も。

 死すら生易しい苦痛を与えられる事すら覚悟したその声は、ひたすらに主の無事だけを求めている。


「……見逃すと思うかい? キミ達はボクらが脅威になるかもしれないからという理由で殺そうとした。彼女を見逃せば、いずれボク達の敵になるかもしれない。そんな存在を見遅れと?」

「グレイラディ様は、賢い御方だ。自分のやるべきことを弁えている御方だ。仇討ちのような感情的な行いはしないさ」

「……嫌だ、と言ったら?」

「……その時は、最期まで暴れてやるさ」


 頭上のホープを睨むように、バシアスの顔が僅かに持ち上げられる。

 その瞳には、飢狼のような鋭い光が宿っている。

 同時に彼の周囲を、突如発生した炎の玉が取り囲んだ。

 彼が操っていた炎に比べれば弱々しいものだが、それでも顔を覆いたくなるほどの熱気を放っている。

 慌ててホープとバシアスの間に割って入り、“崩壊”を込めた右手を構える。


「頼む。このまま、グレイラディ様には何もしないでくれ」


 そうして、なおも同じ言葉を繰り返すバシアス。

 それを見て、俺は胸の内からふつふつと湧き出てくる怒りを感じていた。

 本当に、随分と勝手だと思う。

 突然襲い掛かって来て、勝手に殺すなんて言って、いざ立場が逆転したら主だけは見逃せ、だと?

 

 別に、俺達はバシアスやグレイラディを殺したい訳じゃないんだ。

 だから、二人を無傷で逃してやってもいいとは思う。

 けど、ここで何事もなく逃がしたとして、再び襲い掛かられないという保証はない。

 俺達は、未だに敵同士でしかないからだ。


「その前に、まず謝るのが先じゃないかな」


 不意に、フェテレーシアが口を挟んだ。

 これまで口をつぐんでいたフェテレーシアに、一斉に視線が集まる。


「謝るだと」

「当たり前でしょ! 先に二人を襲ったのはそっちだよね? だったら、先に歩み寄るのもそっちからじゃないと割に合わない」

「何を……人間に頭を垂れろなど、魔族なら出来る訳が――――ぐっ……!」


 バシアスの怒りの表情が、直後に苦悶に歪む。


「多くの者が殺された……多くの者が脅かされた。エフレアの民も同じだ! グレイラディ様のお父上も人間に殺められた! 俺達がどれほど、大切なものを奪われてきたと思っている」

「それはこの二人には関係ないでしょう」

「放置すれば、いずれ俺達の脅威になっていた可能性だってある。これ以上の悲劇の種は見過ごせなかった」

「何だと、このっ……!」


 バシアスの言葉で、完全に頭に来た。

 冗談じゃない。

 コイツ、俺達の事もろくに知らない癖に、勝手な思い込みで殺しにかかってきた挙句、そのことについて何の悪気も感じちゃいない。


「ふざけるな! 勘違いして攻撃してきたのはそっちだろ!」

「ルイ、どうどう。君まで興奮されたら話が進まないから。バシアス、貴方が単に人間憎しで二人を襲ったわけじゃない事は分かる。貴方たちが恐れているのは神々との決別(エヌマエリシュ)。そうでしょう?」

「……そうだ」


 フェテレーシアの言葉に、バシアスが苦々しげに頷いた。

 エヌマエリシュ……?

 確か、それはバビロニア神話の創世叙事詩の名だったはずだ。

 ホープの神様好きに影響され、一時期神話を調べている時期があった。

 その時に、よく意味が分からないなりに調べたことはあったが、なんだってそんな名前がここで出てくるのだろう。


「二人には魔界での魔族狩りについて少し話したじゃない? その組織の名前なんだって」


 俺の表情の変化をどう捉えたのか、フェテレーシアが説明する。

 魔界という、俺達とは違う世界。

 そこで魔族を殺して回っている組織の名前が、俺達の世界の神話の名前を取っていることが、何故だか妙に引っかかった。


「あぁ、魔界では既に名は知れ渡っている。その娘は知らぬ様じゃったがな」

「生憎と、遺跡に潜っていた時間が長かったからね。それに、その名前を聞く機会に恵まれなかったから。どうせ学のない娘ですよー。モグラは世情に疎いですよー」

「……そう言うつもりは無かったのじゃがな」

「ま、ともあれ!」


 フェテレーシアはぱん、と手を叩くと面々を見回す。

 そうして、不敵な笑顔で全員の顔を見終わった後、彼女は俺とホープの方に向き直った。


「二人とも、これはチャンスなんじゃない?」

「?」

「あぁ、そういう……」


 意図が汲み取れない俺の隣で、ホープは苦笑いを浮かべる。

 そうして、普段の温和さを取り戻したホープは、バシアスとグレイラディに向けて口を開いた。


「そっちが言いたいことは分かったよ。キミ達の要望を呑んで、そこの領主様は見逃すことにしよう。それに、バシアス」

「なっ!? 俺は……いいのか?」

「ん? 痛めつけられる趣味でもあった?」

「そ、そんなものはない!」

「だよね。あったら困った。ともかく、キミ達を二人とも許そうと思う。ただし、条件付きでだ」

「条件……?」


 バシアスの眉がひそめられる。

 もしかしたら、許す代わりにトンデモナイ要求を吹っ掛けられるのでは、なんて警戒しているのだろうか。


「そ、条件。情けないけど、ボク達文無しの根無しでね。率直に言って、屋根のついた住処が欲しいんだ。だから、キミ達を許す代償として、ボク達の生活の基盤が整うまで、この館に客人として迎えて欲しい」

「きゃ、客人? 我の館に住むというのか?」

「ダメかな?」

「いや、客間は当然あるから可能じゃが……というか、これを断ったら我は殺されるのか?」

「その割には、えらく緊張感のない取引だけどな……」


 思わず、グレイラディと顔を見合わせてしまう。

 一方で、バシアスは相変わらず渋い顔をしている。


「だ、だが……それはこの館の情報を流す為ではないのか?」

「ん? スパイだと思ってるのかな? そのつもりなら、ここで容赦なくキミ達を殺して家探ししてるって。まぁ、そう思うのは勝手だけど。それならそれで都合いいじゃない。キミ達からすれば、怪しい人間が目の届く所にいてくれるっていうのは安心できるんじゃない?」

「……そうだな」


 ぐぅの音も出ない、といった様子で頷くバシアス。


「よし、それともう一つだけ条件を付け加えさせてもらいたい」

「なっ……!? 貴様、流石に調子に乗り過ぎ――――!」

「落ち着けバシアスよ。命を狙った始末にしてはまだ軽い方じゃろう」


 話だけでも聞け、というグレイラディの目くばせに黙り込むバシアス。

 それを確認して、ホープは遮られた先の言葉を続ける。


「それは、ボク達とグレイラディを対等の立場として扱ってほしい。確かにボク達はキミ達の館にお邪魔するけど、キミ達の下に付く気はない」

「……貴様、それはどういうつもりじゃ?」


 ホープの言葉に、今度はグレイラディが眉根を寄せた。


「別に、領主になり替わろうなんて思っちゃいないさ。ただ、この一件が落ち着いた後で約束を反故にされるのも困るからね。ここで一つ、ボク達の力を見せておいて営業活動でもさせてもらおうと思ってさ」


 そう言うと、ホープはバシアスに向けて手をかざし、そのまま比較的傷の浅い彼の左肩に手を置いた。


「何をする気だ?」

「うん。ちょっと力を抜いてね。 It(その) will(苦痛) be() well(羽に). I(我が) have() a(には) piece(汝の) of(命運) your(その) fate(一欠片)

「!?」


 その光景を見て、俺とホープ以外の全員が息を呑んだ。

 特に、バシアスは当事者であるためか驚愕一層強いらしい。


 じゅる、うじゅる、という粘性の塊がうごめく音がする。

 小さいがやや不快気なその音は、バシアスの傷口から発せられるものだった。


「なんだ、これ……痛みが……」

「治癒魔術だよ。もうすぐ終わるから……っと、これでよし。まだ繊維はくっつきかけだから激しく動かさない様にね」


 一通り傷が塞がったところで、ホープは治癒を中断した。

 血に染まったズタズタの衣服は相変わらずではあるが、バシアスの背中の傷は、もう大部分が塞がっていた。


「どうかな? さっきの様子を見るに、少し内臓(なか)も痛めてるみたいだけど。さっきの条件を呑んでくれればそっちの方も治療してあげるよ」

「お前、どういうつもりだ? 何を考えている……?」

「うん? 疑ってる? さっきも言ったじゃない。これは営業活動だって。後で館を一方的に放り出されたらたまらないから、今のうちにボク達の能力を知ってもらおうと思ってさ」

「……なるほどな」


 目を閉じ、ふぅと大きく息を吐くグレイラディ。


「つまり、我らが結ぶのは協力関係、であると」

「そういうこと。勿論、他にもボクらに協力できることがあれば可能な範囲で手を貸そう。その代わり、キミ達の害にならない範囲で、この館におけるボク達の自由は保障してほしい」

「……よかろう。貴様たちの条件を呑み、その協力を受けさせてもらう」

「グレイラディ様、よろしいのですか?」

「よい。命を狙った我らを許し、歩み寄ってきた者達じゃ。こちらも、疑ってばかりもいられまいよ」

「それは……そうですが……」

「はいはい、今更グチグチ言わない! 貴方の主が良いって言ったんだから、分かとしてちゃんと従いなさいよね。とーこーろーでー、結局まだ謝ってもらってないんだけど―?」

「ぐぉぉぉぉぉぉぉ!? ちょ、や、止めろ……! まだ痛、おぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 背後からバシアスの肩に体重をかけるフェテレーシアと、苦しみに悶えるバシアス。 

 まぁ、大分塞がったとはいえさっきまで背中に大怪我をしていたのだし、内側にズキズキ響くのだろう。

 結局、このぶっきらぼうではあるがバシアスから謝罪の言葉を引き出し、その対価にホープが彼をすっかり治したことで一件落着したのだった。


家(倒壊寸前)を手に入れた!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ