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資料室紹介
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「なるみさんはわかりやすいですね」
くそ、顔に全て出てるってことか。
ポーカーフェイス、ポーカーフェイス。
「というか、あたしが北条先生に頭が上がらないってわかってながら担いでくるあたり、タチ悪いですよ」
「すみません。このまま、避けられたくはなかったんで」
ーーぎくっ。
「……別に、避けたりはしてません。ただ本当に面倒くさかっただけです。ーーどうぞ」
あたし、資料室の扉開けて宗旦狐を入れた。
でもって、ほぼ無感情で説明してやる。
「ここは学生たちが資料を見ながら学習できる、図書館の分館にあたる場所です。他大学から届く研究論文のほか、資格関係のものや辞書、全集も少しあります。以上」
「本当に、紀要の数が豊富ですね。俺の前の大学とは比べものにならないです」
確かに、こんだけ他大学の研究論文を取り揃えてる大学も珍しいらしい。
ほぼ毎日、日本全国の大学から届くから、それを受入するのがあたしの主な仕事だ。
まあ、受入作業なんて十分くらいで終わっちゃうんだけど。