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こいつ……心を読んでやがる……!?
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仏にそんなこと頼まれちゃったら、あたしが断れるわけない。
さすがのメシアも、ただ唖然としてる。
「わかりました。直ぐ開けます」
「悪いね。ーー佐々木さん、そろそろ会議始まるよ」
仏はそう大旦那に声をかけて出て行った。
「月川さん……私もこれから授業なんだ」
うん、わかってる。
わかってるよ柳原先生。
そんな悲しそうな顔しないで。
「平気です。行ってきます」
研究室を出ると、してやったりというような顔した宗旦狐と目が合う。
あたし、深いため息ついて資料室に向かった。
宗旦狐が後ろからついてくる。
「北条先生まで担いでこないでもらえます?」
「なるみさんは北条先生の元ゼミ生だったみたいですから、北条先生に頼まれたら断れないと思ったので」
なんでそんなことまで知ってるんだ。
「なるみさんの卒業制作のあとがきに書いてありました」
こいつ……心を読んでやがる……!?