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やっぱり狐だ
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それで、あたしに会いにきたっていう宗旦狐の言葉にも納得できる。
「一つ、アドバイスをしておきます」
と、宗旦狐はにやりと笑ってあたしの耳に口を近づける。
「ああいった類の人間を黙らせるには、その人の望む通りの人間になればいいんですよ」
あ?
そんなことできたら苦労しない。
ってか近い!!
「もちろん、ずっとでなくていいんです。その人の前だけ、化ければいいんですよ。来世は化け狸に生まれ変わる予定のなるみさんなら、容易いでしょう」
くすくすと、宗旦狐は意地悪げに笑ってた。
あー、この人は、こういう生き方してきたんだ。
やっぱり狐だ。