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あっぶねえ
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大河原は、その後直ぐに資料室を出て行った。
他の二人も、
「じゃあ、僕は教務課寄ってくから」
「わたしも、寄るところあるのでお先に失礼しまーす」
とか言って、それぞれあたしと宗旦狐残して足早に去って行ってしまう。
大旦那はともかく、あのによによ顔の渡辺先輩は確信犯だわ。
残されたあたしと宗旦狐、ゆっくりと駅へと向かう。
あたし、気まずさのせいで宗旦狐の顔が見れないでいた。
でも、とりあえずお礼は言わなきゃ。
「あの、さっきは……ありがとうございました」
うえー、恥ずかしいせいで、めっちゃふてくされてるみたいになってる。
でも、宗旦狐は気にした様子は見せなかった。
「いえ。……それにしても、随分と無茶なことしますね」
無茶?
「佐々木先生曰く、大河原先生は学長と同等の権威があるらしいじゃないですか」
……ふぁ!?
「知らなかったんですか」
「知りませんでした」
下手したらクビだったってことか。
あっぶねえ。