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もう、許さない
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ダンッ!!!
あたし、思いっきり机を叩きつけて大河原に歩み寄る。
もう、許さない。
「なんであなたなんかに、あたしの家族のことまで言われなくてはならないんですか!」
あたしのことをとやかく言うのであれば、まだ堪えられる。
でも、家族のことまで言われるのは、堪えられなかった。
でも、大河原は毅然として引かない。
「あなたの態度から、あなたがどんなしつけがされたかがわかるからよ」
「あたしがこうなったことに、親は一切関係ありません!そもそも、あなたにあたしの親をどうこう言われる筋合いなんてありません!」
「そう、つまりあなたは親の責任でもなんでもなく、あなた自身の責任でそんな人間になったと言いたいのね」
そうだ。
あたしは、デブスでガサツで人を気遣うこともできなければ仕事もできないフリーターだ。
女としても、人間としても出来損ないかもしれない。
でも、それは親の責任なんかじゃない。
大河原の言葉を肯定しようとしたところで、背後から声が飛んでくる。
「そんな人間とは、どういう人間のことですか」