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……やっべ
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結局、宗旦狐は大旦那と隣の会議室で何かを話していて、資料室に顔を出すことはほとんどなかった。
本当に何しにきたのかわかんない。
午後四時。
学内のJKの数もまばらになり、資料室も片づけに取りかかっていた。
あたしは、先輩が用意してくれた下の階の看板を回収して資料室に入る。
「月川さんは朝、充分働かなかったんだから、その分、今しっかりと働きなさい」
わかってるっての。
腹立つ。
でも、安定の大河原の嫌味からも、あと少しで解放される。
そう思えば、堪えられた。
今日のご飯は何にしよう。
そんなこと考えながら論文を片づけてたせいだな。
あたし、足元のコードに足を引っかけて、転けた。
でもって、抱えてた卒論を盛大にぶちまけた。
「月川さん!」
……やっべ。