だああああああああああもおおおおおおおおおお!!
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「今日も作ってきたの?偉いね」
残暑の日差しが差し込む昼下がり。
あたしと先輩は、資料室がある十号館の外の椅子に腰掛けてお昼ご飯を食す。
「昨日飲み会の後作ったんで、手抜きですよ」
「ほんとに偉いよね」
偉いといわれても、贖罪だからなあ。
しかも手作りって言っても、半分以上買ったお惣菜だから恥ずかしい。
と、大河原もこれからお昼なのか十号館から出てくる。
出てくるなり、あたしに怖い顔をむける。
「月川さん!女の子が足を開いて座るんじゃないの!」
でた。
あたし、無言で足を閉じる。
大河原はそのままどこかへ行ってしまった。
「なんなんですかね、あの人。あたしにだけ当たりきつくないですか」
「確かに、月川さんには妙に当たるね。なんかしたの?」
「なんもしないですよ。関わりたくないですし。まじ腹立つ」
「なにに腹立つんです?」
後ろからご機嫌そうな男の声がする。
……まさか。
あたし、幽霊確認するときみたいにゆっくり振り返る。
「お仕事、お疲れさまです」
笑顔の眩しい狐が一匹。
だああああああああああもおおおおおおおおおお!!だから!!なんでお前がいるんだ宗旦狐ええええええええええ!!