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狐の恩返し
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結局、お弁当は配架リーダーに託してあたしは宗旦狐とファミレスで食事することになった。
向かいの席に座る宗旦狐は、見るからにしゅんとしてる。
「なるみさんの手作り弁当、食べたかったです」
「お弁当箱、今日中に返してもらわないと困りますから」
……あ、余計なこと言っちまった。
宗旦狐は再び目を輝かせてる。
「仕事ですか」
「違います」
「大学の資料室ですね」
「違いますって」
言ってんだろうがぶっ飛ばすぞ!
宗旦狐、満足そうに笑って、
「本当に素直な人ですね」
とか言ってあたしにメニューを勧めてくる。
その顔、いつか殴り飛ばしてやるからな。
「昨日はすみませんでした。なるみさんに会えた嬉しさに動転して、まともにお礼すら言えなかった。ーーこの間は、危ないところを助けていただきありがとうございます」
「……いいです、もう忘れたんで」
「大丈夫です、俺は一生忘れないんで」
なにが大丈夫なんだ。