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……なんですと?

405


天真さんがいる病院から、斎玄さんがいる松永家までは約一時間くらいで着いた。


着いて早々、室内に綾子さんの怒鳴り声が響きわたる。


……ほんっとに、元気なばばあだな。

あたし、内心うんざりしながら綾子さんの金切り声を聞いた。


「あの人は、他の病院で診てもらうと何度も言っているでしょう!?さっさと引き渡して!!」


綾子さんは、松永さんに絡んでた。

松永さんは、面倒そうに頭を掻いてる。


「だーかーらー、今無理に動かすと傷口開いて危険だって言ってるでしょうが。もうこのやりとり何回目かわかってる?」


わー、既に険悪。

宗旦狐も眉間に深いしわつくってる。


「母上」


と、宗旦狐が嗜めるように声をかけた。

すると、宗旦狐に気づいた二人がほっとしたような表情を浮かべた。

綾子さんは、縋るように近づいてくる。


「宗辰からも言ってちょうだい。あの人はちゃんとした他の病院に行くって!」


相変わらずあたしのことはガン無視。

まあ、突っかかって来られるよりはマシだからいいけど。


「天真は何をしているの?まったく、この大変な時に……」


綾子さんのこの台詞を聞いた松永さんが、ふいに目を伏せた。


宗旦狐は、息をついてからその重い口を開く。


「天真は、首を吊りました」


宗旦狐の言葉を聞いた誰もが、目を見開いた。

そんなはっきり言っちゃうんだ……。


「どういう……」


「宗辰くん、どうこと!?」


と、綾子さんを押し退けて、松永さんが宗旦狐に飛びかかった。

綾子さんも、見るからに顔を青くして動揺してる。


「安心してください。なるみさんが早く発見してくれたおかげで、一命は取り留めました」


宗旦狐がそう言うと、二人は一斉にあたしの方を見た。

あたし、なんて言っていいかわからず、とりあえず笑ってみる。


松永さんは、「ありがとうございます」とあたしの手を握った。

なんか、特に何もしてないのに気恥ずかしい。


「まさか……あの人を刺したのって……」


綾子さんは、斎玄さんが闇医者の松永さんを頼った理由に勘付いたらしい。


「父上を刺したのは、天真です。どうしますか、母上。それでも、父上を病院へ連れて行きますか」


綾子さんは、下唇に噛み付いて黙り込む。


「なんで天真がそんなこと……」


「母上なら、心当たりがあるんじゃないんですか」


「なんのことよ」


「天真に、なるみさんを殺せと命令したそうですね」


……なんですと?

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