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脳内会議開催

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「それじゃ、なるみ、おやすみー」


「二人とも、大学でね」


「おやすみなさーい」


そんなことを言って、五人は明るく元気に帰って行った。


見送り終わって振り返ると、少し赤い顔で穏やかに笑みを浮かべてる宗旦狐が後ろに立ってる。


「た、楽しかったですね!」


「はい。みんな、なるみさんの料理喜んでましたね」


「あはは、作りがいがありました」


……えーと。

そうだ。


「あ!あたし、洗い物してきますね!」


「明日でいいですよ。疲れたでしょう。お風呂沸かしてあるんで、なるみさん先にどうぞ」


おおおおおふおふおふふお風呂ですか……!?

いつの間に沸かしてたの!?


「どうかしましたか?あ、一緒に入りま……」


「せん!!一人で!!さっさと入ってきます!!」


「そんな照れなくてもいいのに」


苦笑する宗旦狐の横を通って、あたしは着替えと歯ブラシを取りに行った。



……さて、どうする。

あたし、湯船の中で脳内会議を開催する。


みんなは帰った。

この後は、宗旦狐と二人っきり。


あたしの当初の予定では、みんな呑んだくれて知らない間に朝になってるはずだったんだけど、どこで予定が狂ったんだ?


あれだ、柳原先生がいらない機転を利かせたせいだ。

……柳原先生って奥さんいたんだな。

いや、そうじゃない。


どうしようもないんだけども、どうしようか。

宗旦狐は、証ってやつを求めてるのかな?

いやもし、仮にそうだったとして、あたしはどうなんだろう。


あたしはーー多分、幸せだな。

大好きな宗旦狐が、そう考えてくれてるんであれば、あたしは幸せだ。



ーー本当に、これでいいのかな。



今日、あたしの脳内には、ずっとあの人の思い詰めた顔ばっかりが浮かんでた。

あの人はーー天真さんは、幸せなんだろうか。


天真さんだけじゃない。

綾子さんもだ。

あの人たちは、幸せなんだろうか。


恋愛感情とは、人のエゴだって聞いた。

周りがどうなろうと、その人と一緒にいたいと思ってしまうって。

確かに、あたしは朝倉家にどれだけ反対されたって、宗旦狐と別れるつもりなんかない。


でも、朝倉家の不幸を見ないふりして、宗旦狐と幸せに暮らすことは、できない。



……あたしもつくづくお人好しだわ。

本当は、憑き物家が実在したとして、あたしが犬神かなんかの憑き物家の人間だったなら、犬神使ってあの家即座に没落させたいくらいには嫌いなんだけどね。

でも、宗旦狐の生家だもんね。


結論に至って、あたしは湯船から出た。

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