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いやー、疲れた

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宗旦狐を先頭に、わらわらと三人が台所にやって来る。


「だめ!もう直ぐできるから!ほら、つぎ第三陣揚げるよ」


「なるみさん」


と、宗旦狐、どさくさに紛れて後ろから抱きしめて来た。

背後から「きゃっ」とか「おー」とかいうどよめきが聞こえてくる。


「唐揚げ、食べさせてくださ……ぐえっ」


あたし、反射的に甘ったるい声で囁いてきた宗旦狐のみぞおちに肘鉄食らわせた。


「今度やったら、顔面油の中突っ込むから」


一瞬の間。

唐揚げを揚げる音だけが鳴ってた。


そして、失笑。


「……仲、いいよね。ほんと」


「……いいこと、ですよね」


柳原先生と巧さん、顔が引きつってますが。

それとは対照的に、嬉々とした笑顔で話す宗旦狐。


「可愛いでしょう。朝からこうやってスキンシップはかってるんですけど、顔を近づけると殴られるし、手を繋ごうとすると叩かれるし、本当に照れ屋で」


確かに、朝からいつも以上に距離が近かった気がする。

あれ、からかってたんじゃないのか。

なんかもう、羞恥から身体が勝手に防御するんだよね。

今だって、顔面から火が噴き出そうなくらい熱い。


「うん、お前が幸せなら僕は何も言わない」


と、大旦那が深く頷く。


「美月もお兄ちゃんが幸せならそれでいい。でも、なんだろうこの虚無感。お兄ちゃんが遠くに感じる」


「なるみ、あんたには朝倉先生しかいないわ。大事にしなよ」


両手で顔を覆った美月ちゃんの肩を抱きながら、花村があたしを指差す。


「お、おう……?」


心なしか、責められてるような。


まあ、いっか。

よし、唐揚げ揚がった。


「できました。先生、お皿出してもらってもいいですか」


「はい」


「美月もお手伝いする」


「うちもするよ」


そんなこんなで、みんなで支度してどうにか完成。

いやー、疲れた。

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