か弱い系女子気取りたい人生だった
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まるで、身体に八つ分の大きな穴でも開けられたかのような衝撃だった。
そして、その穴からにょきにょきと朝倉先生に対する嫌悪が芽生え始める。
大学の先生でありながら、あんな恥さらすまで飲むなんてどうかしてんだろ。
そうとも知らず、朝倉先生はべらべらと喋り出した。
「あの後、正気に戻った時には既にクロエの残り香のみで……まさか、また逢えるとは思ってもいませんでした」
この人、完全に目がいってる。
気持ち悪い。怖い。
あたし、とりあえず柳原先生の後ろに隠れた。
その姿が、朝倉先生の背後の鏡に映る。
……柳原先生、細くてあたしの身体全部隠れてないや。
か弱い系女子気取りたい人生だった。
「どうした、熱でもあんのか」
と、それどころじゃない。
さすがに柳原先生もドン引きしてる。
でも朝倉先生には、そんな柳原先生なんて眼中にないようだった。
「ずっと逢いたかったです。なるみさん」
……ひいいいい!!!!
全身に鳥肌が立つ!!!!
なに、あの爽やかな笑顔!!!!
なに、あの気障ったらしい台詞!!!!
とにかくマジで!!気持ち悪いっ!!!!
かくして、朝倉宗辰はあたしの中で天敵として認定された。