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ほらあああああ!

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ーーーーーー


うーん、ねっむい。

今日は夕飯食べないで寝ちゃおうかな。

……いや、あたしが作らなきゃ、妹がお腹減ったって暴れるか。

そろそろ起きなきゃ。


ところで、あたしいつの間に家に帰ったんだっけ?

あれ、抱き枕がない。


あたし、薄く目を開けて抱き枕を探す。

が、そんなもんどこにもなかった。

あたしの目の前には、縁側がある。

真っ暗な部屋に、その縁側から月明かりが差し込み、畳の目を照らしてた。

その幻想的な光景が、夢か現か判断を鈍らせる。


「んっう……?」


現実かどうか確かめるため、少し身じろいでみた。

手足は縛られてて動かないし、口にもなにか噛まされててうまく声が出ない。


……そうだ。

家に帰って寝たんじゃなくって、誘拐されたんだ。


あたし、現在の状況を理解して絶望する。


なんでこうなるんだろう。

火事で死にかけるし、首絞められるし、誘拐されるし。

なんであたしこんな命を危険に晒してんの?

あれか、合コン男どものこと呪った代償がいっぺんにきちゃってる的な?

もう二度と呪わないから、いい加減許して欲しい。


……ところで、ここどこよ。

手足が痺れてきた。

駅で痛めた腕と捻った足に、結構な負担かかってる。


もがきながら巻きついてるものを外そうとしてると、背後からすっと襖が開くような音が聞こえてきた。

かと思えば、部屋の明かりが点けられる。


「目が覚めましたか」


あたしは、芋虫みたいに動いて振り返った。


「よく似合いますね」


男の格好をした天真さんは、冷たい目であたしを見下ろしてた。

あたし、睨み殺すような勢いで天真さんを見上げる。


「人の忠告を聞かないからこうなるんですよ。わざわざ駅まで行って三度もあなたを突き飛ばして忠告したのに、それでも兄上に会おうとするなんて本当の馬鹿ですね」


天真は小馬鹿にしたような目をして、大袈裟に肩をすくめて見せた。


あたし、なんとなくだけど、突き飛ばしたの天真さんだろうなとは思ってた。

だから、別にその件に関しては驚きはしない。


問題はその後の、あたしが宗旦狐に会おうとしてたことを天真さんが知ってたことだ。


「どうして兄上に会おうとしてたことを私が知ってるのか、不思議そうな顔してますね」


腹立つ。

でも図星。


「盗聴器です。初めて資料室を伺った時に、机の裏に取り付けました」


……まじかよ。

うわ、絶対あたしの独り言とか聞かれてんじゃん。


「一人でよく喋りますね。まあ、退屈はしませんでしたが」


ほらあああああ!

もうやめてよおおおおお!

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