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今更だけど、なんて性格してんだ!

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店内は和風モダンな内装をしていて、個室を仕切る木製の格子扉が素敵だった。

漆喰の壁に、飾り棚がよく似合う。


……要するに、フリーターのあたしにはちょっとだけ敷居が高いお店だった。


店に着くなり、花村は端末を取り出していじり始める。


あたしは宗旦狐の隣で手を拭きながら聞く。


「巧さんに連絡?」


「そう、もう終わりましたかって聞いてる……あ、返事きたー。もう終わりますって!」


そっか、そしたら、メールでここの場所送って……そんなに交番から遠くないから五分もかからないで来れるかな?


そんなこと考えてたら、花村の端末に着信が入った。

花村は一度咳払いすると、何食わぬ顔で電話に出る。


「はい、もしもし、花村です。巧さんですか?」


「「えっ」」


あたしと宗旦狐、思わず同時に声を上げた。


ちょっと待って、花村、いつ巧さんと電話でやりとりするようになった?

なんで巧さん、花村の電話番号知ってんの?


「ーーはい、そのお店です。それじゃ、お待ちしてますね」


花村は巧さんに店の場所を説明して、満足気に電話を切った。

それから、


「巧さんの電話番号ゲットー」


とか言いながら巧さんの電話番号を登録する。


「は、花村、なんで巧さん、花村の電話番号知ってんの?」


「さっきメールで教えたから。お店の場所、メールじゃ伝えづらいんで、電話でもいいですか?ってメッセージ添えて」


「……策士ですね」


さすがの宗旦狐もどん引くほど。

でも、


「そんなことしなくっても、朝倉先生に聞けば知ってたんじゃない?」


「そんなことしたら、朝倉先生に聞いたって巧さんに知られちゃうでしょうが。そんながっついてるみたいな女には見られたくないの」


「花村先輩、さすがっす。あたしも今度仲良くなりたい子に使ってみよ」


特に今の所いないけど。


「なるみさんは使う必要ないじゃないですか。もう俺の連絡先知ってるんですから」


「どうして先生の連絡先だけ知ってればそれでいいって考えになるんですか?束縛男はモテませんよ」


「どうしてなるみさんはそんなに冷たいんですか?俺はなるみさんだけにモテればそれでいいです」


と、宗旦狐があたしの手を取る。

あーもう、そういうことするとまた向かいの子が騒ぐからーー



「久保田、一升頼んじゃおっかなあ!!!」



ほらみろ!


「花村、日本酒一升なんて一人で飲めないでしょうが!」


「巧さんと一緒に飲むし!」


「ふふ、面白い子ですね」


この狐、わざとやって花村の反応楽しんでやがる!

今更だけど、なんて性格してんだ!


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