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れっついめーじとれーにんぐ

310


晩御飯とお弁当作りながら、探偵について考えるも、まったく思い当たる節がなかった。


というか、本当に探偵だったのかどうかも怪しい。


「ねえ、今日なんか怪しい人いなかった?」


とりあえず妹に聞いてみるも、


「怪しい人?姉ちゃんくらいしか見てないけど?」


こいつになにを聞いても、馬鹿な答えしか返って来ないってこと忘れてたわ。


「お前もう晩飯抜きな」


「ええー、お腹すいたお腹すいたお腹すいたああ」


「暴れるな床抜けんだろうが!」


「姉ちゃんほど体重ないから大丈夫ですー」


首絞めてやりたくなるくらい憎らしい妹だこと。

まったく、誰の妹かしら。

桜花さんの爪の垢煎じて飲ませてやりてえわ。



寝る支度を済ませて、部屋に戻る頃には探偵のことなんて頭になかった。


布団の真ん中には、旦那(抱き枕)が置かれてる。


なんか、昨日からどうも顔を合わせづらいというか、気まずいというか……抱き枕相手にここまでくるとかあたし相当重症なんだなって思う今日この頃。


ーーでも、そうか。

この抱き枕を宗旦狐だと思えばいいじゃない。

これで、スキンシップの練習すんの。


あたし、宗旦狐(抱き枕)の隣に寝転ぶ。

宗旦狐と二人で同じ布団に入るというシュチュエーションになった場合、宗旦狐はどういう反応するだろう。


えっと……だ、抱き寄せる……とか?


じゃ、じゃあ……ちょっと宗旦狐(抱き枕)にもう少し寄ってみようか。


あたしは抱き枕の方にちょっと寄った。

頰に、宗旦狐(抱き枕)の胸板(綿)が当たる。



その瞬間、宗旦狐(抱き枕)を壁にめり込むくらいの力で押し付けた。

現物だったら確実に肋骨粉砕してる。


……………む、無理無理無理無理!!

いやいやいやいや!!


なんなの、宗旦狐って妄想しただけで今までの旦那(抱き枕)とは別のものみたいな感覚は!?

この背徳感は一体!?


うわ、これ、やばいぞ、あたし。

男性恐怖症なんて生易しいもんじゃねえぞ、あたし。

二十二歳にもなって妄想だけでこんな照れるって、相当やべえよ。



せ、せめて、ほっぺにちゅーくらいはできるようになろうか。

司書で働いてたとき、女性誌に甘え下手は捨てられるって書いてあったから、なんとしても甘えられるようにならなくてはならない。


小さい頃を思い出せ、なるみ。

実父のほっぺにちゅーしてた可愛い時期が、お前にだってあったはず。


……あった、のか?

あれ、全然記憶にねえや。

一方的に髭じょりじょりと頬ずりされたり、酒臭い口でちゅーされたことくらいしか覚えてない。


こ、これは……主に実父のせいで甘え方がわからないのでは?



ーーと、とにかく!

一回ほっぺにちゅーの妄想してみよう。

宗旦狐に車で送ってもらったというシュチュエーションで、車から降りるとき。


頰(綿)を寄せてくる宗旦狐(抱き枕)。

あたしは、宗旦狐(抱き枕)の肩(綿)に手を乗せ、そしてーー



ガチャ



「姉ちゃん、明日着るコート貸してくんな……ぶっ」


妹の顔面に投げつけ、クリーンヒットさせた。

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