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その言い方やめろ!

301


食パンが二枚しかなかったから、半分ずつ頂くことになった。


宗旦狐は感動したように、食べ終わるまでに三回は「おいしいです」って言ってた。

いや、ただ目玉焼きパンに挟んでるだから、不味くなりようがないんだけど。

まあ、まずいって言われるよりはいいか。

あたしは大袈裟だなと苦笑しながら食べた。



「昨日は、見苦しいところを見せてしまって、すみませんでした」


食事後、皿を洗ってると宗旦狐がそんなこと言った。

顔は見えてないけど、たぶん照れてる。


「お互い様です」


あたしだって、公園で子どもみたいに泣いたし。


……最近泣いてばっかだなあ。

前は人前で泣くなんて、考えられなかったのに。

恥ずかしい。


「寒いですね」


宗旦狐は照れ隠しか、暖房の温度を上げた。


寒いといえば……あたし、マフラー持ってきたんだった。


皿を洗い終わってから手を拭いて、バッグからラッピング袋を取り出す。


「よかったらどうぞ」


どんな顔して渡せばいいのかわからなくって、ついぶっきら棒な口調になっちまった。

ほんとに可愛げの欠片もない。


ソファに座ってる宗旦狐は、渡されたラッピング袋を不思議そうに眺めてから、中を確認した。


「マフラー?ーーなるみさんが編んだんですか!?」


「仕事が暇で作っただけです。いらなければ捨ててください」


「恋人が編んだマフラー捨てるクソ男がどこにいるんですか!」


……こい、びと……?


あたし、その単語に硬直する。


「ありがとうございます!一生大切にします!……なるみさん?」


「こい、びとって……なんなんでしょう……?」


い、いつ、あたしは宗旦狐の恋人になったんだ?


えっ、展開早すぎてついていけてない。

だって昨日まで、あたし宗旦狐と決別しようと思ってたんですよ?

そしたら、なんか家にお呼ばれしてそのままお風呂入ってご飯までごちそうになって……。


あれえ?


「なにを今更。一夜を共にした仲じゃないですかあ」


「その言い方やめろ!」


ソファで寝落ちしただけだろうが!!

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