料理はできる
3
「ただいま」
「なるみー、腹減った」
「うるせえブス」
「うるせえブタ」
仕事から帰って出迎えの会話がこれである。
我が妹ながら腹が立つ。
バッグを下ろし、手を洗って冷蔵庫と相談。
鳥のもも肉、ナス、ピーマン、卵。
鳥の照り焼き、ナスとピーマンの煮浸し、卵焼き。決定。
あたしは早速料理に取り掛かった。
実家で、父と母と妹と犬の四人と一匹暮らし。
にも関わらず、家にお金は入れてないし、情けないことに携帯代すらも払えない。
働いているとは言っても実際はフリーターで、現在は母校である大学の資料室と図書館の掛け持ちをしてる。
その図書館は夏だけの短期アルバイトのため、あと四回で契約が切れる。
その上、十月からは大学生時代に使いまくった未来投資の返金が始まる。
月三万だぜ、三万。殺す気かよ。
早く他のアルバイト見つけないとやばい。
まあ、そんなわけで、夕飯と親と自分のお弁当作りは親への贖罪みたいなもの。
就職活動に大失敗したのは申し訳ないけど、そこまでうるさく言ってこないのが救い。
妹と愛犬に餌あげて、お弁当箱におかずを詰めてご飯を予約しておしまい。
明日の仕事も図書館である。
そして、幼馴染の誕生日でもある。