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察しろっつってんだろうがああああああああああ!

299


ーー気づけば、あたしと宗旦狐はソファで互いに寄りかかりながら爆睡してた。


いつの間に寝たんだろう。

宗旦狐が泣いてて、あたしはその頭を撫でて……それ以降の記憶がまったくない。

二人して寝落ちしたんだな。


時間を確認しようと、近くのあたしの端末に手を伸ばす。

でも、充電は切れてて真っ暗な画面から少しも動かなかった。


カーテンの隙間から朝日が差し込んでいて、鳥の鳴き声まで聞こえてくる。


壁掛け時計を視線で探すと、目の前の壁の上の方にあった。

午前八時五分。

随分寝たな。


隣の宗旦狐は、未だ熟睡してた。

あたしは宗旦狐を横にさせて立ち上がる。

うげえ、身体がばっきばき。

うんっと伸びをしてから、ベッドの布団を宗旦狐に掛けてやった。

そんでもって、昨日自分が使ったマグカップと食べたうどんの皿を洗う。


朝ごはんは、どうするんだろう。

勝手に冷蔵庫の中を拝見するのは、さすがに気が引けた。


「……なるみさん」


と、ふいに後方から名前を呼ばれて驚いた。

そういえば、いつから苗字からまた名前呼びになったんだろう。


近づいて、宗旦狐の顔を覗き込んだ。


「先生、おはようございます。あの、朝食を作ろうと思うんですけど、冷蔵庫の中身拝借してもいいですか?」


そう訊ねるも、宗旦狐は無反応だった。

とろんとした目であたしのことじっと見てる。


……こいつ、寝ぼけてやがるな。


「おーい。起きろー」


あたし、ぱたぱたと宗旦狐の顔の前で手を振った。


と、


「起きてます」


宗旦狐は突然あたしの手を掴んで、自分の方へ思いっきり引いた。


「ちょっ……ん!」


宗旦狐の顔が迫ってきたと思った瞬間。

あたしの唇と宗旦狐の唇が触れた。



……これは……いわゆる……接吻、というやつでは……?



理解が及ぶと、体温が急上昇した。


あたし、慌てて宗旦狐と距離を取ろうとする。

が、後ろ首掴まれてて動けん!!

ひぃぎゃやあああ!!口!!!取れちゃう!!!!溶けちゃう!!!!!


反射的に、空いてる手で宗旦狐の首を絞めた。


「ぐえっ」


「あ、ご、ごめ、あっ、あっ……!」


や、やばい、さっき、なにがどうなった!?


あたし、自分の口抑えてちゃんと口があるか確認する。

よかった、取れてない。


「キスして首絞められたの初めてです……」


と、宗旦狐は上半身を起こして苦笑した。

あたし、その両肩をガシッと掴んで思いっきり前後に振る。


「こちとらファーストキスじゃこのボケなすがあ!!!」


「……まじですか」


「その反応が一番傷つくんだよおおお!!!」


だから、察しろっつってんだろうがああああああああああ!

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