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覚悟はできてる

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「どうしたらいいんでしょう」


全部話終わった頃には、すっかり落ち着いてた。

あんなに泣いたの、いつぶりだろう。


「どうしたらいいって言われてもねえ。なんで急に、朝倉がそんな態度とるようになったのかがわかんない」


「好きじゃなくなったからって言われても、その理由もわからなくて。もうほんと、意味わかんなくて……チッ腹立ってきた」


「やめてよ、僕の研究室破壊するの」


あーもう!あの狐、めんどくせえ!


好きじゃないって、なにがどうなってそうなったのか……ん……?


好きじゃ、ない?


「どうしたの、急に静かになって」


「あたし、あのクソ野郎に、もう好きじゃないって言われたんです」


「さっきも聞いたよ」


「好きじゃないって、それって……嫌いとは、限らなくないですか?」


前に、宗旦狐から言われたことがある。

あたしは、“嫌い”とは絶対に言えないって。


もしかして……宗旦狐も、言えなかったんじゃないか……?


「月川さん、逞しくなったよね」


「見た目がっつったら暴れますよ」


「違う、ポジティブになったよねってこと!」


ポジティブ、か。

ただの考え違いかな。


でも、もし宗旦狐があたしにあんな態度とらなきゃいけない理由が他にあるんだったら、ちゃんと知らなきゃいけない気がする。


「月川さんは、どうしたいの?」


わからない。

でも、きっとこのままじゃいけない。

なにか、行動しなきゃ。

……そうだ。


「朝倉先生の本心を、確かめたいです」


宗旦狐、あのとき一度もあたしのこと見ようとしなかった。

目を伏せて、本の表紙ずっと見てた。

あれ、今思えば宗旦狐がなにか言いたくない時にする癖だ。


「もし、その本心が月川さんの思うようなことじゃなくても?」


「そのときは、また泣きにきます」


「わかった。枯野先生と田中先生に、お茶とお菓子用意しておいてもらうね」


あたしゃ子どもか。



ーーでも……もし、あれが宗旦狐の本心なら。

あたしだって、それなりの覚悟はできてる。

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