久しぶりに行ってみるかー
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花村七海:はあ?なにそいつ。今までさんざんなるみのこと追いかけ回してたくせに、いきなりその塩対応って、クズだろ。
吉田悠介:まあ、落ち着け。クズにもクズなりの理由があるかも知んないだろ?
あたし、家に帰ってとりあえず幼馴染に相談した。
あたしより、花村の方が恋愛経験は豊富だし、吉田は生物学上男だし、恋愛に関してはもうプロといっても過言じゃない。
なにかしら答えをくれるだろうと思った。
月川なるみ:嫌われたかな。それなら、別にいいけどさ、なんで嫌われたのかは知りたいよね。でも、理由があり過ぎて特定できない。
吉田悠介:お前なにした?
月川なるみ:怒鳴ったり殴るは日常茶飯事。それにこの間は火傷もさせた。
吉田悠介:理由って、主に怒鳴ったり殴った部分じゃね?
花村七海:怒鳴ったのと殴ったのはうちも初耳だわ。よくそれで今まで嫌われなかったな。
月川なるみ:いつも笑って許してくれてたんだけど。この間ので限界きちゃったのかなあ。ねえ、どう思う?やっぱりあたしのせい?
吉田悠介:それだけ聞くと、どう考えてもお前のせいだわ。
そっかー、そうだよねー。
あたしも資料室で、贈る相手が不明になったマフラー編みながら、何時間も考えてたけど、やっぱりそうだよねー。
吉田悠介:直接、本人に聞けば?
花村七海:うん、それが確実だ。
本人に聞くって言ってもなあ。
あの調子じゃ、絶対あたしのこと避けてるし話なんて聞いてくれないだろう。
大学以外でどっか宗旦狐と遭遇できる場所なんて……あ。
月川なるみ:明日、大学休みだからちょっと会いに行ってみる。
花村七海:朝倉先生の家知ってんの?
月川なるみ:家は知らない。でも、前に短期で働いてた図書館で偶然会ったことあんの。もしかしたら、そこにいるかも!
吉田悠介:後日、報告求む。
月川なるみ:らじゃ。ありがとねー。
よし。
会えるかわかんないし、ちょっと遠いけど、どうせ暇だし久しぶりに行ってみるかー。