255/416
▼おおだんな の ようす が おかしい
255
「喉が痛そうだと花村さんから伺ったので、果物ではなくゼリーを買ってきました。よかったら召し上がってください」
と、巧さんが思い出したかのように紙袋を渡してきた。
え、花村?
なんだ、もう連絡取り合ってんの?
さすがだなー。
てか、ゼリー!
そうなの、まだ喉が痛くて病院食も固体じゃない液体状のものなんだけど、ほんとなに食べてんのかわかんなくて萎えてたとこ!
『病院食で強制ダイエットさせられるところでした。まじで感謝します』
と、紙袋抱えて端末見せる。
大旦那は吹き出した。
『ところで、朝倉先生はどうですか?連絡しても返事が来なくて心配してるんですけど』
それに、大旦那は宗旦狐と仲直りしたんだろうか。
柳原先生、大旦那のこと叱るって言ってたけど。
「元気だよ。少し火傷は負ったみたいだけど、軽傷で済んだみたい」
そう、なんだ。
なんだ……なら、よかった。
と、大旦那が巧さんに目配せする。
「美月、少し外に出てよう」
「え?なんで」
「いいから」
そう言って、巧さんは美月ちゃんを連れて病室を出て行った。
「月川さん、ちょっと聞いて欲しいことがあるんだ」
……ん?