助けてえええ!!!
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放送室の前に着くと、飛び込むようにして扉を開けた。
放送室には、使われなくなった機材とか旗とかバットとか、そんなガラクタであふれてた。
そのガラクタを掻き分けて、マイクの前に辿り着く。
よし、なんとか動かせそう。
全体放送に設定して……と。
「火事です!火事です!黄昏館フランス庭園側の部屋から火の手が上がっています!至急、外に避難してください!」
よし。
ちゃんと外からあたしの声が聞こえてる。
「繰り返します!黄昏館フランス庭園側の部屋から火の手が上がっています!至急、外に避難してください!」
しばらくすると、辺りから悲鳴やら足音が響いてきた。
よしよし、これで大丈夫。
あたしも避難しなきゃ!
そう思って、再びガラクタ掻き分けて扉に向かう。
いつもの癖で、扉は閉めてた。
ドアノブを回して引く。
ーーガチャ。ガチャガチャ。ガチャガチャガチャ!
「……う、嘘でしょ」
扉、開かないんですけど。
元々建てつけ悪かったのかよくわかんないけど、とにかく開かない!!
「勘弁してよー!!」
そこらへんにあるガラクタで使えそうな物探して、扉の破壊を試みる。
バットで扉を思いっきり殴った。
……ドアノブが、外れた。
「嘘でしょおおおおお!?」
なんで扉殴ったらドアノブ外れんの!?
馬鹿なの!?
こうなったら、全体重かけて体当たりするしかない。
あたし、半泣きで扉に体当たりを試みた。
……さも当然の如く開かない。
そういえばこの扉、部屋から出るときは引くタイプの扉だった。
この部屋に窓は、ない。
完全密室……!
「誰かあー!誰かいませんかあ!!」
避難指示しといてなんだけど、助けてえええ!!!