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これは、がちでやばいやつ

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あたしと花村は、洗った茶碗を持って廊下を歩く。


そろそろ人も捌けたかな。


「でもさ、いいんじゃない?朝倉先生」


「え?どこが?」


「見た目も悪くないし、どことなく品もあるしさ。あれ、絶対お育ちいいでしょ。それに、なるみこと気に入ってるみたいだし」


あー、あの立ち居振る舞いは育ちの良さからきてるのかな。


前に大河原から言われた「お里が知れる」ってやつかな。

もちろん、いい意味で。


「試しに付き合ってみたら?」


「いやいや。それとこれとは話がべ、つ……」



ーーくんくん。

なに、この焦げた臭い。


急に、なんか焚き火でもしてるような臭いしてきた。

どっかで焼き芋でもしてんのか?

てか、なんか暑いーー


「なるみ!」


と、花村が急に叫び出す。


花村が指差した方を見ると、廊下の先の部屋から煙と火が上がってた。



火は、既にその扉や壁を覆ってる。



「火事!?」


窓の外から、気味の悪い笑い声が聞こえた。

廊下の窓からフランス庭園を見ると、バイクに乗った見覚えのある男女が数人いる。

手にはライターを持ってた。


「ちょー楽勝だったわー」


「焼け死ね焼け死ね」


あいつら!

美月ちゃんに集団で絡んでた!!


あたしと目が合うと、奴らは直ぐにバイクで逃げてった。



「や、やばいよ!煙が!」


花村が今にも泣きそうな声で叫ぶ。

これは、がちでやばいやつ。


「花村、ここ抜けて外出て消防車呼んで」


あたしは窓を開けて花村をそこから逃す。


「なるみは!?」


「まだ茶話会のほかに二階とかにももしかしたら部員がいるから、知らせないと」


茶話会がやってる部屋に行くにはあの部屋の前を通るか、ぐるっと回るしかない。

でも、あたしが回ってる間に、火と煙のほうが先にたどり着くかもしれない。


……確か、水場の隣が放送室だった。


「放送室行ってくる!」


あたしは、茶碗を置いて走り出した。

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