眼鏡はどこいったんだよ眼鏡は!
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それからまた一時間後。
茶話会には高校生とそのお母さんらしき人たちの人集りができてた。
その間、あたしと花村と美月ちゃんと巧さんで、茶碗を洗い続ける。
「裏方の方が、パパに見つからなくていいね。でも、お腹減ったな」
と、美月ちゃんが洗った茶碗を布巾で拭きながら嘆いた。
「もうすぐお昼だから、きっと捌けると思うよ」
きっと、お昼ご飯を求めて模擬店に移動するはず。
「捌けたら家に帰るぞ」
「えー、せめて模擬店のご飯食べたーい」
「そしたら、うちらここやっとくから、その間に模擬店見てきたら?ね?」
と、花村があたしに同意を求めてくる。
「うん、行っといで。佐々木先生に見つからないようにね」
「わーい、じゃあちょっと兄貴つれて行ってきます!なるみさんと七海さんにも、なにか買ってきましょうか?」
「ああ、そしたら、適当に買ってきてもらえる?お金あとで返すわ」
「了解です!行ってきまーす」
そう言って、美月ちゃんは巧さんを引きづって出て行った。
足音が遠くなったところで、花村がぼそりと呟く。
「巧さんめっちゃかっこいいな」
「え?でも眼鏡してないよ?」
「この際、眼鏡とかどうでもええねん」
えええええ?
あんだけ眼鏡推しだったのに?
「にしては、花村、そんな巧さんと話してないじゃん」
「まずは、外堀から埋めてくんだよ」
外堀?
「題して、美月ちゃんを味方につけて巧さんと仲良くなろう大作戦」
……こいつ、やりおる。