おやおや
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「なるみさん、お手伝い助かります。そちらの方は?」
「なるみの幼馴染の花村七海です。付き添いで手伝いに来ました」
花村は、愛想笑いを浮かべる。
でもその目は完全に品定めをしてた。
「茶道部顧問の朝倉です。わざわざありがとうございます。手伝いと言っても、まだそんなに人は来ていないので、お茶でもどうぞ」
そう言われて、宗旦狐に中に通される。
それにしても、宗旦狐の袴姿、よく似合ってる。
成人式とかで見た袴姿の男の人とは、全然違う。
本当に、普段からその格好で生活してるみたいな立ち居振る舞いだった。
「先生のお茶、すっごく美味しいんで是非飲んでみてください」
「これ、お茶菓子です。いっぱいあるんでどうぞ」
輪に入った途端、振袖姿の部員たちはちやほやと世話を焼いてくれる。
うふふ、振袖姿のお姉さんたちにちやほやされるの楽しい。
その目の前では、宗旦狐が慣れた手つきで茶を点ててた。
「朝倉先生、お茶点てられるんですね」
「少しだけですけど」
宗旦狐は照れ笑いを浮かべる。
「とんでもないです!先生の所作は裏千家流を熟知してるとしか思えません!」
「先生、どこで習ったんですか?」
「わたしにも今度、点て方教えてください!」
おやおや。
宗旦狐、随分と部員たちに懐かれてらっしゃる。