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なんだこいつ、かっこいい

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「また、昔の連中と関わってるのか」


と、巧さんは警察官らしい厳しい目で美月ちゃんを見下ろす。


「大丈夫だって。まだなにもされてないし」


「この間はお金巻き上げられて、さっきも集団に暴行されてました」


美月ちゃんはじろりとあたしを睨む。

だからあたし、にっこり笑い返した。


「これから、学校に行くときは俺がついて行く。学校には連絡しておくから。あと、外出は控えろ」


「いやだ」


「また宗辰さんに助けてもらうのか。今度はあんな怪我だけじゃすまないぞ」


「そんなの、兄貴だって同じことでしょ」


「なんのために警察官になったと思ってんだ。あの人よりは、今の俺の方がお前の力になれる」


……なんだこいつ、かっこいい。

シスコンのくせにかっこいいだと。


「いいな」


「……わかったよ」


「それから、これ」


と、巧さんは小型のおもちゃみたいなものを美月ちゃんに差し出した。


あ、それ、スタンガンだわ。


「暴力と防衛は別物だ。いざとなったら、自分の身は自分で守れ」


美月ちゃんは、それを少し不満げに受け取った。


「なるみさん、妹が世話になりました」


と、巧さんは急にあたしの方を向いて脱帽し、丁寧に頭を下げた。


あれ、どうしよう、かっこいい。


「いえ、とんでもないです。あたし、叫んだだけなんで」


「馬鹿な妹ですが、これからも仲良くしてやってください。これ、ここの代金です」


そう言って、巧さんは二千円財布から取り出してテーブルに置いた。


「えっ、いやそんな大丈夫です。頂けません」


「お釣りは結構です。ーー美月、行くぞ」


「え?どこ行くの?」


「父さんの所だよ。まだ大学にいるはずだから」


「やだ!パパに絶対言うでしょ!」


「心配しなくても父さんならもう全部知ってる。ほら、さっさと立て」


あ、大旦那が知ってること、そんなあっさり言っちゃうんだ。


「は!?全部ってどこからどこまで!?ちょ、引っ張んな!ーーなるみさん、今日はありがとうございました。また!」


「あ、うん。気をつけてね」


そんなわけで美月ちゃんは、制服姿の巧さんに連行された。

その姿は若い子が逮捕されて、警察に連行されてるようにしか見えなくて、辺りがざわついてる。

この場合、現場に居合わせたあたしは周りからどう思われてんだろ。


てか、二千円。

さすがに多いよ巧さん。

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