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そのときは突然やってくる
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そんな感じで花村と談笑してると、ほぼ同時にお互いの端末が鳴った。
花村と覗いてみると、幼馴染のグループで吉田から連絡がきてた。
吉田悠介:さっき、彼女にプロポーズした。
「「はあああ!?」」
あたしと花村、端末の液晶に向かって絶叫。
周りのお客さんとか、お店の人が一斉にこっちを向く。
あたしと花村は周りに軽く会釈してから、もう一回液晶に視線を移した。
まじかよ、お前一ヶ月前には金貯めるっつってたじゃん!!
花村は凄い勢いで端末を指で叩く。
花村七海:返事は!?!?
あたし、気づいたら口が開きっぱなしだった。
花村は額に手を当てて動かない。
数分後、吉田から返事がくる。
吉田悠介:オッケーもらいましたー!
「まじかよ」
……と、とりあえず、あたしは落ち着いてお祝いのスタンプを送っといた。
それから、茫然自失の花村に視線を移す。
「は、花村?」
「まじか……幼馴染の中で吉田が独身一抜けとか……」
「それな」
なんなんだ、この敗北感は。
そんなあたしと花村の心情も知らず、吉田からまた連絡がくる。
吉田悠介:結婚式きてね。
あ、はい。
もちろん、行かせていただきます。