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お手伝いが増えた
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「因みに和服ってのは、大学の文化祭で先生が茶道部の顧問として出席するから、そのときに必要なものね。あたしも手伝いすることになってんの」
「和服の用途はわかった。さっき送られてきてた『なるみさんの好みだといいんですけど』ってなに?」
花村、目が怖い。
なんか、詰問されてるみたいなんだが。
「それは、あたしの母親の実家が元呉服屋で、あたしが和服好きって言ったからで……」
「それ、なるみのために和服用意してるよね?朝倉、完全になるみのこと好きだよね?」
「……そういう人なんだよ」
もう、そうとしか言えない。
ここで、宗旦狐から告白じみたことされてるとか言ったら、花村が発狂する気がした。
「よし、うちも文化祭行くわ。ちょうど休みだし。その朝倉って男が、なるみに相応しいかちゃんとうちが見定めてやろう」
「まじか。やった、洗い物手伝ってね」
わあい。
お手伝いが増えた。