あたしもくま◯ンみたいなもんだしね
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とりあえず、最近起きたことから話すことにした。
見合いの話から始まって、家出して、実父に会って、実父がくそだったから宗旦狐と巧さんに成敗してもらって、お見合いチャラにしてもらうために、彼氏として宗旦狐の容姿と巧さんの名前借りた。
そこまでステーキ頬張りながら話すと、花村は首を傾げてこう言った。
「つまり、なるみはどっちと付き合ってんの?」
「だから、どっちとも付き合ってないの!見合いしたくないから容姿と名前借りてるだけ!」
「ふーん。……にしても、その朝倉って人、本名を教えたくないって怪しすぎでしょ」
「それはあたしも思ったけど、いつか理由は教えてくれるって言ってるし。見合いしたくねえし」
「うちなら玉の輿万々歳だけど。相手の見た目は?」
「えっとね、ムーミ◯」
「ムー◯ンの旦那……癒されそうだけどね」
と、花村は苦笑しながらステーキを頬張った。
まあ、あたしもくま◯ンみたいなもんだしね。
「てか、その先生って彼女いたんじゃなかった?」
「ああ、そう。香水詳しかったのは、弟(多分)に昔よく女装させられてたらしくて、そのときにつけられた香水で覚えたらしい」
「それ軽くトラウマじゃん」
「先生もそう言ってた」
だから、実はそれ以来あたし、香水してない。