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ぐえっ
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「あのさ、もしかして男できた?」
飲み込みかけたパンが変なとこ入った。
ぐえっとか言いながらむせる。
「できてないから」
「うちの目を見て言えるか?」
「いません。できません」
「じゃあ、さっきスマホで誰と連絡取ってた?」
「ありゃ大学の先生と業務連絡みたいな……」
「ほう、相手は大学の先生か。もしや、あの女物の香水に詳しい例の?」
……なぜわかる。
こいつ超能力者かなんかか?
「さっきのやりとり見せてよ」
「ほんとにただの業務連絡だってば」
「それはうちが判断する」
ああ、もう。
言っても聞かないんだから。
あたしは渋々、宗旦狐とのさっきのやりとりを見せた。
花村、眉間にしわ寄せてそれを凝視する。
そして、その顔のまま視線をあたしに移した。
「これ、業務連絡じゃねえよ。てかいろいろ突っ込みたい。弟(多分)ってなに」
「待って説明する」
……って言っても、一体どこから話せばいいんだ。