今日も今日とて
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花村七海:やっほー。なるみ、明日って空いてる?
大学の文化祭まで約一カ月を切った頃。
花村から唐突にこんなメールが届いた。
花村はいつも唐突なんだけど。
月川なるみ:一日空いてるよ。
花村七海:平塚にさ、新しいモールできたでしょ。そこにうちの店舗も出店してるからさ、店舗見学ついでにショッピング付き合ってよ。
そういえば、この間からもう開店してんだっけ。
建物ができる前から、大々的にテレビとか駅で広告されてたけど、まだ行ったことなかった。
ちょうどいいし、行ってみるか。
月川なるみ:いいよー、それじゃあ待ち合わせは駅前で
「なるみさん、聞いてますか?」
と、端末で花村にメールしてると、宗旦狐に顔を覗き込まれた。
「もしかしてえ、なるみさん、ほかの男の人と連絡取ってたりして」
美月ちゃんが、むふふと笑み浮かべる。
今日も今日とて、宗旦狐と美月ちゃんは資料室に入り浸ってた。
もう、しまいにはポットでも持ち出して来そうな勢いで入り浸ってる。
「なるみさん、俺の話を聞かないでどなたと連絡を取ってるんですか?」
「幼馴染ですよ」
「あー、幼馴染から恋愛関係に発展するパターンですね。お兄ちゃん、なるみさんにふられても美月がいるよ」
「あのね、美月ちゃん。まず、幼馴染から恋愛関係に発展するパターンなんか、漫画の中の世界だけだから。次に、あたしが宗旦狐をふるって話だけど、ふるとかふらないとかの以前に、あたしたち付き合ってねえから」