あたしが悪いの!?
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あたし、恥ずかしくて窓の外に目をやる。
でも、いくら待っても隣の宗旦狐から反応が返ってこなかった。
と、車がいつの間にか道の脇に逸れて停まる。
そこで、宗旦狐の方を向くと、宗旦狐は口元を手で覆ってうつむいてた。
「ど、どうかしましたか?気分悪くなったとか?」
どうしよう、近くに薬局とかあるかな。
「違うんです」
と、宗旦狐の震える声。
よく見ると、宗旦狐は泣いてた。
えええええ!?
あたし、泣かせた!?
あたしが悪いの!?
えっ、あたしが素直に言い過ぎたから!?
「ご、ごめんなさい。あたし、酷いこと言いました。ほんと、ごめんなさい」
「……いえ、そうじゃないんです。嬉しくて……」
……へ?
嬉しい?
さっきの発言のどこに嬉しさ感じる要素あった?
「少しだけでも、なるみさんに信用してもらえたことが嬉しかったんです」
あ、う、うん。
そう、か。
えっ、そんな泣くほど?
「ゆっくりでいいんです。少しずつ、ほんの少しずつでも、信じてもらえれば、それでいいです」
「……はあ」
なんで、この人はここまであたしに対して感情的になれるのか。
それを聞いたところで、また好きだからって安易な理由で片付けられそう。