そんな気がした
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「なるみさんは、俺をどう思いますか」
車の中で、運転中に宗旦狐はそんなことを聞いた。
そんなこと聞かれても困る。
「素直に言ってくれていいですよ」
うーん。
これって、ふり?
「本当に、素直に言ってもいいんですか?」
「はい」
それじゃあ……遠慮なく。
「お節介な人だなって思います。お節介過ぎて、もしかしてお金でも巻き上げようとしてるんじゃないかって思うくらい。それか、あたしみたいなデブスからかって楽しんでるか……」
そこまで言うと、宗旦狐は耐えかねたように笑う。
「なるみさんには、俺が相当酷い男に見えてるんですね」
「そう、思ってました。でも、よくよく考えたら、柳原先生と佐々木先生の後輩が、そんなことするはずないと思うんです」
仮に、あたしに金とか面白さを求めて近づいたなら、あの二人に知れ渡ることは必至だ。
そうなったら、あの大学にはいられなくなる。
普通の人は、そんなリスクを冒そうとはしないはず。
「なるほど、俺の信頼度はあの二人のおかげで保たれてるってことですか」
「それに……朝倉先生は、そんな人じゃない……と思います」
なんとなく、だけど。
そんな気がした。